調査会社のGartnerによると、IT分野ではハードウェア関連のトレンドの変化の影響で、来年にかけてソフトウェアのライセンスにかかるコストが50%以上も跳ね上がる可能性があるという。そのため同社では、いまのうちに既存の契約について見直すよう進めている。
Gartnerは、マルチコアプロセッサ・アーキテクチャや、ハードウェアの仮想化、ユーティリティコンピューティングなどへの移行により、主要ソフトウェアベンダーの提供する既存のライセンス契約が脅かされると主張している。これらの契約では、CPUの数をベースに料金を計算している。
同社リサーチディレクターのAndy Butlerは、ソフトウェア業界はハードウェア分野で起こっている変更を自社のライセンスポリシーに反映できずにいると指摘する。
「BEAやMicrosoftのように、マルチコアアーキテクチャに対応しようという動きも一部にみられる。だがソフトウェアベンダー各社は概ね、自社のソフトウェアライセンス体系をどのように変更するかに関して、何も明らかにしていない」とButlerは述べている。
同氏は、IBMやOracleのようなベンダーと仮想マシンのライセンスについて話をしても、「強硬で、柔軟性に欠ける」反応しか返ってこないと言う。
こうしたことから、2006年にはソフトウェアの価格が少なくとも50%上昇する可能性がある。Gartnerによると、デュアルコアチップのハードウェアにアップグレードするユーザーの場合、性能は50%しか向上しないのに支払う料金は2倍になってしまうという。
Butlerによると、大企業は中小企業に比べて、ソフトウェアベンダー各社に対して大きな交渉力を持つことになりそうだという。
「大企業はそれほど影響を受けないだろう。本当に影響を受けるのは中小企業だ」(Butler)
ソフトウェア価格の上昇につながるハードウェアトレンドにはこのほかに、「キャパシティ・オンデマンド」と「高速プロビジョニング」ツールの2つがある。
Gartnerでは、これらのトレンドが組み合わさるとソフトウェア価格の問題がさらに大きくなるため、エンドユーザー企業はベンダーとの話し合いをいますぐ開始すべきだと警告している。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。
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