Solarisオープンソース化計画に関連してSun Microsystemsが公開した特許1600件の使用に厳しい制限が設けられているとの声が上がっているが、同社がその懸念払拭に乗り出した。
Sunは先週、オープンソースプログラマがOpenSolarisプロジェクトに取り組む際に同社が保有する特許の使用を認めると発表した。これについて、数人の有力オブザーバは、他の分野のプログラマ、最も顕著な例ではSolarisのライバルであるLinuxを使用しているプログラマがそれらの特許を使用した場合に彼らがSunに提訴される可能性があると憂慮している。
この点についてSunは米国時間1月31日に、同社の立場についてある程度明確な説明を行った。Solarisのマーケティング責任者Tom Goguenは「われわれは、オープンソース開発者を提訴するつもりは全くない」と述べた。ただし、同氏は「現在、ウェブサイト上に掲載する(その趣旨の)公約はまだ完成していない」と付け加えた。
Goguenは、何らかの公約をすることは可能と語る。「われわれは、誰もが納得できる公約、そして、われわれが公開している特許をオープンソースコミュニティがより快適に利用できるようにするための公約を検討している」(Goguen)
これは単に、哲学的、法的好奇心の問題ではない。この問題は、Sunの技術がLinuxに組み込まれるか否か、また他企業が自社の特許を公開する際にどのような方法を選択するかに影響を与える可能性がある。また、Sunは今回の対応次第で、オープンソースファンの間の同社の評判を高められる可能性もある。Sunは相当な数のオープンソースソフトを無償提供しているにも関わらず、これまでJava技術のオープンソース化を拒んできたために、オープンソースファンの間で評判を落としていた。
民間の特許監視団体Public Patent Foundation(PPF)の事務局長Dan Ravicherも、Sunが特許に対する立場を明確にすることを望む一人だ。PPFは特許法の改正と、不正に発行されたと同団体が考えている特許の廃止を目指している。またRavicherが行った調査の結果、Linuxは283件もの特許を侵害している可能性があることが分かり、その中には同OSの敵であるMicrosoftが保有する特許27件も含まれている。
Ravicherは1月28日にSunの立場について、「法的文言は、(Sunの)幹部が意図してきたことと合致しない」と語った。Ravicher自身のCDDL(Community Development and Distribution License)の解釈によると、Sunは、自社のSolaris OSにおいてのみ特許を使用することを許可しており、他のOSでの使用は認めていないという。
Sunの特許に関する動きについて懸念を表明しているその他の人物としては、IBMの標準技術担当バイスプレジデントであるBob Sutor、オープンソース運動の法的・技術的基礎の大半を提供したフリーソフトウェア財団(Free Software Foundation:FSF)の創設者Richard Stallman、FSFの顧問弁護士Eben Moglen、さらに著名なオープンソース提唱者であるBruce Perensなどが挙げられる。
Sunが特許を公開する以前にも特許に関するいくつかの動きがあった。IBMは1月に500件の特許をオープンソースコミュニティに公開し、LinuxディストリビュータのRed Hatも同社が保有する全ての特許をオープンソースソフトに使用することを認めると公約した。このような動きが活発化することにより、今後、オープンソースソフトに対応する新しい特許が生まれる可能性がある。
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