国内コンテンツ市場は6年間で約7000億円縮小--総務省調べ

エースラッシュ2005年01月31日 16時59分

 総務省は1月28日、「メディア・ソフトの制作及び流通の実態」に関する調査結果を公表した。これは、さまざまなメディア上で流通するコンテンツ(メディア・ソフト)の制作・流通の実態をとりまとめたものだ。

 テレビ番組やビデオ、ラジオといった現在のコンテンツ形態は、利用者ニーズの多様化や多メディア化により非常に複雑だ。今回実施された調査は、まずコンテンツの定義・分類を行い、より明確な実態把握を進めることを目的としている。具体的には、映像系・音声系・テキスト系ごと、さらにソフトの一次利用・二次利用の別で全体トレンドを把握・分析するといった手法だ。また、映画、ビデオ、テレビ番組(地上・衛星・CATV)、ゲーム(以上を映像系と分類)、音楽、ラジオ番組(音声系)、新聞記事、コミック、雑誌、書籍、データベース(テキスト系)と、ソフトごとの詳細な伸張・縮小傾向についても把握・分析が行われている。なお、今回の調査では各種メディアを通じて多くの人々に利用されることを目的とした情報ソフトを対象としており、私信のビデオレターや企業PR用ビデオ、同人誌、自費出版書籍などは対象外である。

 調査報告によれば、2002年におけるメディア・ソフト全体の市場は約10兆8000億円。これはかなり大規模な市場であるが、2000年と比較すると約1000億円の縮小、1996年からの6年間では約7000億円縮小していることが明らかになった。細かい分類では、映像系が2000年の約4兆6000億円から2002年の約4兆8000億円に増加しているものの、音楽系は約1兆円から約9000億円に減少。テキスト系についても同様に、約5兆3000億円から約5兆1000億円へと減少傾向を示している。また、流通に関しては一次流通市場が約9兆4000億円から約8兆9000億円へと急激な減少を見せた反面、二次利用となるマルチユース市場は約1兆6000億円から約1兆9000億円に拡大しているのも特徴的だ。ちなみに、一次流通市場の5割強はテキスト系、マルチユース市場では6割弱を映像系が占めている。

 好調な伸びを記録した映像系では、映画の一次流通市場が2000年の1709億円から2002年には1968億円となり、15.2%増。流通量も2.4億時間と20.6%増加している。これは、複数のスクリーンを設置した複合映画館「シネマコンプレックス」や、全体の観客動員数が増えたことによるものだ。同時に映画制作額も1051億円と24.3%増加しており、需要側と供給側双方の映画熱が高まっていることを表す結果となった。また、劇場用やテレビ用を除いたビデオソフトの一次流通市場は、1871億円から2698億円と44.2%の急増。特にDVDなどのデジタルビデオが、870億4000万円から1423億4000万円へと2年間で約1.6倍になったことが大きな要因のようだ。

 そのほかの映像系では、映像系の77.8%を占める地上テレビ番組の一次流通市場が2兆7544億円から2兆5286億円と8.2%減少している反面、BSアナログ・BSデジタル・CSデジタル専用に制作された衛星テレビ番組では、1421億円から2590億円と82.2%増となった。さらに、CATV局で自主制作されたCATV番組は84.9億円から61.5億円と27.6%減、ゲームソフトに関しては5375億円から4359億円と、こちらも18.9%の減少となった。

 総務省では、メディア・ソフトの振興はマルチユース市場の拡大になるという。特に、映画ではインターネット配信やVOD、ゲームでは携帯ダウンロードやオンラインゲーム、音楽では携帯やPCへの配信など、ネットワーク市場の成長が注目される。

総務省

CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)

-PR-企画特集

このサイトでは、利用状況の把握や広告配信などのために、Cookieなどを使用してアクセスデータを取得・利用しています。 これ以降ページを遷移した場合、Cookieなどの設定や使用に同意したことになります。
Cookieなどの設定や使用の詳細、オプトアウトについては詳細をご覧ください。
[ 閉じる ]