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XMLの利用やサービスの提供が本格化--XMLコンソーシアム主催「第2回ユーザーシンポジウム」

奥隆朗(CNET Japan編集部)2004年12月16日 20時05分
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 2004年12月15日、東京・品川でXMLコンソーシアムが主催する「第2回ユーザーシンポジウム」が開催された。今回は、金融業や旅館業、印刷業など、多様な企業が参加。それぞれの企業のXML Webサービスの導入事例や取り組みについての講演が行われた。芝パークホテル、日本銀行、山櫻、大日本印刷、住友信託銀行がそれぞれ講演を行い、最後は各講演者がお互いに考えを述べ合うパネルディスカッションが実施された。

 基調講演は「経営に活かすIT」という演題で、芝パークホテル取締役社長の石原 直氏が行った。同氏は、ホテルオークラの情報システム部の出身で、1970年代からホテルのサービスを向上させるための情報システムの構築に取り組んできた経緯を持つ。

 石原氏は、1970年代当時を振り返り、「当初の情報システム部はわたし1人であったほか、24時間オンラインのシステムは少なく、しかも機器の価格も非常に高価であったため、常に経営面でのコストメリットを考慮しながらシステム開発を進める必要があった」と語る。

 例えば、ストレージの1バイトあたりの単価は、現在の7万倍もしたため、必要のある情報とそうでない情報の切り分けが非常に重要であったという。ただ、現在においても同じで、不要な情報が多数存在すれば情報の最適化は行えないため、いかに有用な情報を選別し、活用できるようにするかがポイントとなるという。

 ユーザビリティに関して、石原氏は「過去のシステムは利用できるスキルのある人間だけが使えればよいという時代だったが、現在は社員全員が情報システムを利用する。このため、従来よりも効率的かつ使いやすいシステムの構築が必要になっている」という。石原氏は、当時、自分が構築した際には、80歳代の名誉会長でも使える情報システムを指標において開発し、それを実現したことを説明した。

 その後、経営とシステムの関わりについても解説。石原氏は「現在のITの活用は、目先の利益ではなく、3年、5年後にどのような費用対効果が現れるのかを考えながら構築する必要がある」と強調した。また、経営者の情報システムへの関心が希薄な点は大きな問題であると指摘。同氏の経験では、さまざまな経営者層のシステムについてのプレゼンテーションを聞いても、概要や仕組みなどは詳細に語っていることは多くでも、期待される効果や発展性、経営戦略の中での位置づけが明確になっていないケースが多々見られると語る。

 このほかに石原氏は、「情報システムの人間でも、現役を離れればトレンドが見えなくなる」ことを認識すべきだと警告する。これは、石原氏自身がIBMユーザー・シンポジウムの審査員を務めていたおかげで、ユーザーからあがってくる論文に目を通すことによりトレンドを把握することができたという経験から来ているという。

 同氏は、「情報システムは存在するだけでは価値はなく、それがユーザーに利用されて初めて価値のあるものになる。情報システム部自身もユーザーにサービスを提供するものと考えて、システムを構築しなくてはならない」と語り、基調講演を締めくくった。

XBRLで日本企業の競争力向上をねらう

日本銀行 考査局 金融データ管理担当総括の和田芳明氏

 特別講演では、日本銀行考査局金融データ管理担当総括の和田芳明氏が、日本銀行が行ったXBRL(eXtensible Business Reporting Language)への取り組みと実証実験の成果を語った。XBRLは、各種財務報告用の情報を作成・流通・利用できるように標準化されたXMLベースの言語で、プラットフォームやソフトウェアを問わず、財務情報の作成や流通・再利用を可能することを目的として開発が進められているもの。

 日本銀行では、2003年6月より、ヒアリングや調査、XBRL文書の項目や構成などを定義する標準分類辞書であるタクソノミの作成を行ってきた。そして、2003年11月から2004年3月までに都市銀行を対象に第1期実証実験を実施。2004年7月から9月までに公募した31金融機関を対象に第2期実証を行うことで、技術と運用の両面からXBRLに有用性があるかどうかを確認してきた。

 和田氏は、これらの実験の中で得られた見解や成果などを説明した。まず、タクソノミ作成については、概念自体を定義した「内部用タクソノミ」と、表示や計算、定義の各リンクによって概念間の関係を定義した「報告用タクソノミ」に分割。また、内部用タクソノミを全金融機関で共通するものと、各業務形態に合わせた「差分タクソノミ」に区分することで、適応範囲を拡大した。

 さらに、メンテナンス性の向上や他計表にも応用可能な構造にすることで、導入をスムーズに進める工夫を行ったという。このほか、報告書の送受信にはIP-VPNとPKIを活用することで、低コストでセキュアな環境を実現している。その後、第1期実験、第2期実験を通じて、ブラッシュアップを行った結果、「特別な知識を持たずともXBRLが利用できる」(和田氏)ものができあがったという。

 和田氏は、「第2期実験は、公平性と透明性を明確にするために参加金融機関を1週間のみ日本銀行のホームページ上のみで公募したが、予想外に多くの参加者がいた。XBRLへの関心の高さが窺えた。また、実験後のアンケートでは、データの流通だけでなく記載内容の正当性の確認などさまざまなチェック機能によるメリットにも期待が高く、XBRLの必要性を感じた企業も多かった」と、ユーザー評価を語った。

 最後に和田氏は、「ベルギーで11月に開催された第10回XBRL国際大会には、過去最大の30カ国以上が参加した。特にEUでは、通貨統合によりXBRLの重要性が増している。日本企業の競争力の強化を図るうえでも、金融機関だけでなく一般企業へのXBRLの導入の普及が必要である」と、XBRLの重要性を強調した。

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