テキサス州ラウンドロック発--ライバル各社からエンジニアリングに関する専門知識の不足を批判されるDellだが、同社は今月発売予定のある重要なコンピュータについては自社で独自に設計したものだと述べている。この重要なコンピュータとは、第2世代のブレードサーバにあたるPowerEdge 1855という製品だ。
PowerEdge 1855と、その後継機種で来年2月に発売予定の同1955は、高さ12.25インチ(約31センチメートル)のシャーシを採用すると見られている。これらの製品の設計に詳しい情報筋によると、このシャーシには10台のデュアルプロセッサブレードが収容可能だという。Dellのブレードの場合には、1台のラックに60台を収容できるのに対して、従来のデュアルプロセッササーバはわずか42台しか収まらない。
技術開発予算の少なさや、提携各社の開発した技術の利用についてはまったく臆するところのないDellが、ことサーバに関しては独自の研究に対する投資をしきりと宣伝している。
「われわれは現在も研究開発予算の約60%をエンタープライズ(製品)につぎ込んでおり、(そこから)売上高の20%を得ている」と、同社CEO(最高経営責任者)のKevin Rollinsは、CNET News.comの編集者との会見のなかでそう語った。「ブレードでも、超薄型アーキテクチャでも、あるいはIntelの新型マルチコアプロセッサ(搭載サーバ)でも、新製品投入時の研究開発は社内で行う必要がある。これらの製品はクッキーとは違う--単に袋のなかから出してくれば済むといった類のものではない」(Rollins)
Dellは、近日中に登場するブレードサーバの仕上がりに自信を見せている。Dellの製品グループ担当シニアバイスプレジデント、Jeff Clarkeは、「この製品は自分が設計したものであり、私はとてもわくわくしている」と述べている。同氏によると、このシステムは8月にIntel Xeonプロセッサの最新バージョン「Nocona」と同時にデビューした、Dellの第8世代サーバから派生したものだという。
Dellがサーバ関連の研究開発を強調するのは、同社が顧客の要望を認識していることの現れかもしれない。顧客はサーバメーカーに対して、価格面だけでなく、専門知識も強く求めている。Sageza GroupアナリストのClay Ryderは、「これは、サーバ市場での要求水準が非常に厳しく、価格だけでは太刀打ちできないことを暗示している」と述べている。
Clarkeのコメントの当否はさておき、Dellの新しいブレードについては、実際にどの程度まで同社が開発したのかは明らかでない。同製品の設計に詳しい人間のなかには、このシステムが富士通が販売するブレードサーバに酷似しているという者もいる。彼らは、両社が同じ外部の設計会社か、もしくは同一の外注メーカーを使って、各々の製品を開発した可能性を指摘している。
Pund-IT Researchの主任アナリスト、Charles Kingは、Dellが一部の作業を社外エンジニアに依頼した可能性があると述べる。「ブレードのように複雑なサーバ製品を開発する際、そのコストを抑えるには、外部の専門企業に設計を依頼するのが賢明なやり方だ」(King)
Dellのブレードサーバ開発に誰が関与しているにせよ、同社は成熟の度合いを増すIntelのサーバ技術から利益を上げられる力があることを証明している。同社はいわゆるx86サーバの販売台数で、現在第2位につけている。x86チップとはIntelのXeonやAdvanced Micro Devices(AMD)のOpteronを指す。
Technology Business Researchのアナリスト、Brooks Grayは、「市場全体にx86サーバが浸透したことからも分かるように、Dellのモデルが市場ニーズを捉えており、今後もさらにハイエンドの分野に食い込んでいくのは確かだと思う」と述べている。
ブレードサーバは、シャーシ内部に収容して電源やネットワークスイッチを共有する薄型のシステムで、サーバ市場で急成長を遂げている。1855はDellがブレード分野に投入する製品の第2弾だが、同社は2002年に1655MCというシステムでこの分野に参入しながら、結局短期間で撤退した経験を持つ。
IDCによると、2004年第2四半期におけるブレード市場の規模は2億3300万ドルで、そのうち首位のIBMが44%、またHPが32%、そしてDellが3%のシェアをそれぞれ占めていたという。ブレードの重要性はますます高まる見通しで、ある予想では、2008年までには全サーバ出荷台数の29%を占めるようになるという。
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