グリッドコンピューティングの概念を生み出した研究者らが、米国時間13日にあるベンチャー企業を立ち上げ、コンピューティングリソースの共有方法を研究するためにこれまで非常に学術的に行われていたソフトウェアプロジェクトの商用化に挑戦する。
Univaという社名を持つこの会社はシカゴの近くに本拠地を構え、いくつものスーパーコンピューティング・プロジェクトの重要な基盤となるグリッドソフトウェア、「Globus Toolkit」をベースに事業を展開していく。
新会社のCOO(最高執行責任者)に就任するRich Millerによると、Univaは、自らの製品やコンピューティングオペレーションにGlobusを統合しようとする企業や組織に対して、サポートとサービスを販売するという。
同社の事業はすでに始まっている。コンピュータ業界各社のマーケティング部門では、自社の解釈に応じて「グリッド」という言葉を利用しており、またGlobus ToolkitはIBMなどが提供する主流のビジネスコンピューティング技術に組み込まれている。だが、いまのところ、Globusは研究所や大学以外にはそれほど普及してはいない。
しかし、IlluminataアナリストのJonathan Euniceによると、一部の顧客--すなわち、通信や金融サービス、運輸などの分野の企業各社は、複雑な財務分析を迅速に処理する必要があるため、同技術のもたらすメリットを享受できるという。
「財務分野には本当に大きなチャンスがあると思う」とEunice。しかし同氏は、グリッド技術はいまだに「ごく黎明期にある」として注意を促した。
グリッドプロジェクトに投資しようとする企業にとって、Univaを利用することは、World Wide Web(WWW)の考案者、Tim Berners-Leeにホームページをつくらせるようなものだ。
Univaの首脳陣--最高経営責任者(CEO)のSteve Tuecke、チーフサイエンティストのCarl Kesselman、オープンソース担当最高戦略責任者のIan Foster--は、Globusプロジェクトの運営に携わり、また現在のグリッドの元になった「The Anatomy of the Grid」という論文を2001年に共同で執筆している。Fosterが「グリッド」という言葉を造りだしたのは、1990年代のことだ。
Fosterら先見者が直面する課題は、自分たちのビジョンを説明することだろう--これはグリッドの複雑さに起因するものではなく、コンピュータ業界の大手ベンダー各社が巨大なマーケティング予算を使って、各々の勝手な定義を宣伝しており、それとUnivaの定義とが異なっているためだ。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。
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