オープンソースのストレージ戦略を推進するIBM

Stephen Shankland (Staff Writer, CNET News.com)2002年12月30日 21時53分

 米IBMは、同社がリリース予定の次世代ストレージシステム技術『ストレージ・タンク(Storage Tank)』に対する可能な限り広範な支持を獲得すべく、同技術の利用に必要なサーバー用ソフトウェアのオープンソース版をリリースする。

 IBMのアルマデン研究センターのストレージ・ソフトウエア・マネージャーで、5年に及ぶストレージ・タンクのプロジェクトを指揮しているデビッド・ピーズによると、IBMは某オープンソースグループと協力してソフトウェア開発に取り組んでおり、2003年に一般向け製品を出荷する際、そのソースコードを公開するという。なお、オープンソースグループの名称は明らかにしていない。さらに、IBMは同プロジェクトの基盤となる通信手段も公開する予定という。

 このIBMとオープンソースグループの共同作業は、オープンソースの活動の勢いに乗ろうとしているIBMの姿勢を示す恰好の例であり、その最も新しいものである。IBMは、Linuxオペレーティングシステムやスーパーコンピューティングネットワーク向け『Globus Toolkit』といった、共同プログラミング作業のプロジェクトを支援している。

 IBMは、開発期間の短縮と有利な技術の普及促進を図るため、オープンソースコミュニティーと協力体制を敷いている。また、事情に通じているプログラマーの存在により、自社の威信を示したいという考えもある。同社は多くのリソースをオープンソースプロジェクトに注いでいる。とりわけ注力しているプロジェクトは『Linux Technology Center』だ。

 しばらくの間『Golden Retriever』というコードネームで呼ばれたストレージ・タンクは、既存のストレージシステムをさらに有効利用し、より容易に管理できるようにするための技術だ。ストレージ・タンクは既存のシステムとの連携が可能なので、膨大なデータを格納することができる。

 この技術は、「メタデータ」と呼ばれる記述情報を、継続して追跡する各種の方法を用いることで機能する。メタデータとは、物理的な記憶場所、ファイルサイズ、アクセス権などの情報で、コンテンツともにファイル内に格納される。ほとんどのストレージシステムは、メタデータをストレージシステム自体に格納しているが、ストレージ・タンクの場合、メタデータサーバのグループ全体に情報を分散させる。メタデータサーバには、米インテル製プロセッサを2個搭載し、Linuxを走らせる。

 この手法にはいくつかの利点がある。1つは、数多くのファイルを継続して追跡できることだ。「このストレージシステムで数十億というファイルを管理できるようにすることを目指している」と、IBMの特別研究員でアルマデン研究センターのストレージ・リサーチ・マネージャー、ジャイ・メノンは言う。

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