無料のダウンロードソフトウェアを利用してウェブユーザーのコンピュータに迷惑なアドウェア(広告ソフト)を組み込んでいる企業同士が、自らのユーザーや利益を守るために、互いにつぶし合いを演じている。
あるアドウェア企業による別のアドウェア企業への攻撃が注目を集めたのは、シアトルで起こされたある訴訟でのことだ。この訴訟は、西インド諸島に拠点を置くAvenue Mediaと呼ばれる広告会社が先月、ニューヨークを拠点とするDirectRevenueに対して起こした。Avenue MediaはDirectRevenueが競合ソフトを使って、ユーザーのコンピュータにインストールされている自社のInternet Optimizerと呼ばれるプログラムを検出/削除したと非難している。
Avenue Mediaが 米国時間11月24日に提出した訴状によると、DirectRevenueのソフトはInternet Optimizerを検出し、同プログラムを削除するという。この削除とは、PCレジストリやコンピュータ全体から同プログラムの全てのファイルを削除することを意味する。Avenue Mediaによると、同社はDirectRevenueの戦術により、全ユーザーのほぼ半数に当たるおよそ100万人のユーザーと、1日当たり1万ドルもの売上を失ったという。
Avenue Mediaの訴訟は、アドウェア、マルウェア、スパイウェアという名称で知られるプログラムに関する最近の意外な展開といえる。これらのプログラムは、PC画面の目立つ場所に広告を表示するよう設計されている。なかには有益なデスクトップ/ウェブ用アプリケーションも存在するが、こうした迷惑ソフトの業界は西部開拓時代さながらの無法状態だ。そこには、真のルールや自主規制など存在しない。
Avenue Mediaの訴状が受け入れられ、裁判が行われることになれば、ソフトメーカーにユーザーのPCの設定を変更する権利があるのか否かの問題が浮き彫りになる可能性があることから、この訴訟は非常に重要である、と法律の専門家らは指摘する。またこの訴訟をきっかけに、インターネット上にまん延するスパイウェアやマルウェアに対する消費者やプライバシー監視団体の批判の声が一層高まる可能性がある。
ハーバード大学の研究員Ben Edelmanは「コンピュータが10種類の迷惑プログラムに感染して初めて、ユーザーは何らかの対応策を講じるようだ」と語る。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。
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