Oracleは、IBMやMicrosoftなどに対抗すべく、インフラソフトウェア市場での更なる拡大戦略の詳細を来月明らかにするが、このなかには新しいコンテンツ管理サーバ(CMS)や、パッケージの内容に変更を加えたアプリケーションサーバ製品の投入も含まれる。
同社は、PeopleSoftの経営権をめぐって戦いを続ける間にも、社内での製品開発に投資し続けてきており、特にミドルウェア--ビジネスアプリケーションの構築・運用に利用するバックエンドのサーバソフトの開発に力を入れてきている。同社の戦略は、インフラソフト製品を包括的に取り揃え、専業ソフトメーカーや業界大手との競争力向上を目指すというものだ。
Oracleの幹部らがCNET News.comに語ったところでは、同社は来月開催予定のOracle OpenWorldで新しいCMS製品を発表するという。「Tsunami」というコード名のこの取り組みは、同社の既存データベースビジネスを土台にしたもので、メール、表計算ファイル、テキストなどの形式で保存された大量の業務情報を処理する専用サーバを提供する。
またOracleは同イベントで、手直しを加えたアプリケーションサーバ・ソフトウェアスイートに関する説明も行う。同社によると、これには全く新しい統合サーバも含まれるという。同社はJavaをベースにした自社インフラソフトのさまざまなバージョンを発売し、顧客が個々のソフトウェアコンポーネントをより柔軟に組み合わせて使えるようにすると、同社幹部らは語った。
Oracleのミドルウェアビジネスが全体の売上に占める割合は5%に満たない。しかし、PeopleSoft買収の成否と関係なく、インフラの「スタック」を揃えることは同社の長期的成功に欠かせないとアナリストはいう。ますます多くの法人顧客がベンダーの数を絞っており、同一ベンダーから購入するミドルウェア製品の「スタック」はより大規模になっているからだ。
「品揃えの穴を埋める技術を組み込むことで、リスクを大幅に抑えて時間とお金を有効活用できる」とSanford BernsteinアナリストのCharles Di Bonaは述べている。
ミドルウェアの分野には、ポータルやデータベースといったビジネスアプリケーション構築用のあらゆるインフラソフトやツールが含まれる。これらのハイエンド製品は通常、中央のIT部門が購入し、それをビジネスシステムの構築や運用を行うプログラマーや管理者が利用する形をとる。
数十億ドル規模のこの市場を支配するのは、IBM、Oracle、Microsoft、BEA Systemsなどの大手企業だ。各社ともサーバソフトのスイート製品を提供し、法人顧客の「ワンストップショップ」になろうとしている。またオープンソースのミドルウェア「スタック」も急速に開発が進んでいる。
Oracleはサーバソフトウェア、とりわけアプリケーションサーバとコラボレーションスイートを、自社のデータベースビジネスの延長線上にあるものと見なしている。
Oracleは「データベース市場を独占している。この分野では圧倒的に強い」と、同社のAmlan Debnath(サーバ技術担当バイスプレジデント)は述べ、さらに「いわゆるミドルウェアレイヤで足がかりを得ることも重要だ」と語った。
Oracleはアプリケーションサーバ市場への参入でやや出遅れたが、同社はこの分野でも着々と態勢を整えつつある。今年はじめには、アプリケーションサーバの営業部隊を約420人へと倍増させることを明らかにした。
Di Bonaによると、Oracleが市場のリーダーに追いつくまでにはまだ時間がかかるという。「(同社のアプリサーバは)利用はされているものの、この分野の看板製品にはまだなっていないと思う。この問題を解決するには、社内で技術開発を進めるか、他社を買収して技術を手に入れる必要がある」(Di Bona)
Di Bonaは、数十億ドルなどという大規模なものではなく、小規模な買収を勧めている。ソフトウェア業界では、大規模なものは特に成功の可能性が低いと同氏は言う。Oracleは、PeopleSoftの買収を巡って司法省と争った独禁法判決の異議申し立て中に、BEA Systemsの買収を検討していたことを明らかにした。同社はJavaのミドルウェアベンダーで、10億ドル規模の売上がある。
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