Microsoftは、来年登場するデュアルコアチップ搭載の新サーバ製品でも、これまでと同じくプロセッサごとに課金するライセンス体系を採用することになった。
同社は米国時間18日に、一片のシリコンに2基以上のプロセッサを搭載した、いわゆるマルチコアプロセッサに関する同社の方針を明らかにした。同社のこの動きによって、他のソフトウェアメーカー各社に対する競争上の圧力が増すことになると見られる。ソフトウェアメーカーの多くは自社の製品に関して、デュアル/マルチコアチップ搭載サーバの場合には、その分多く料金を徴収するアプローチを採っている。
Microsoftは、他のソフトウェアメーカーと同じく、データベースのSQL Serverや統合ソフトのBizTalkなど、自社のサーバ用ソフトウェア製品の多くについて、プロセッサの数に応じた料金を徴収している。長年続いてきたこの料金体系はいま、マルチコアプロセッサの登場し主流となりつつあるなかで、見直しを迫られている。
チップメーカー各社は、プロセッサのオーバーヒートを回避する方法としてマルチコア技術を採用している。たとえばIntelでは、最近になって4GHz版のPentium 4の開発を中止したが、これは同チップがそれだけ高速に動作した場合、大量の熱を発するためだ。そこで同社では、別の手段を使ってチップの全体的な性能を向上させる道を選ぶことになった。
IntelとAMDはともに、それぞれのサーバ用デュアルコアプロセッサを来年までに発表するとしている。IBM、Hewlett-Packard(HP)、Sun Microsystemsの各社は、すでにデュアルコアチップを開発しており、さらに4/8/16コアチップの開発に取り組んでいるところだ。
Microsoftは、現行のプロセッサ数に応じたライセンス料課金のやり方を続けることで、プロセッサの種類に関係なく同一料金となるため、顧客やパートナー各社にとっては価格の予想がつきやすくなり、一貫性が保てると説明した。
「プロセッサの機能改善に対して課金することは業界の利害にとってプラスにはならない、と我々は考えている」とMicrosoftのCori Hartje(ワールドワイド・ライセンシング/プライシンググループ、マーケティング担当ディレクター)は述べている。
Microsoftのこの姿勢は、同社と競合する一部の大手企業の採るアプローチとは対照的だ。OracleとIBMでは、デュアルコアチップ搭載サーバに2プロセッサ分の料金を課す方針を採用している。
他社のなかにはMicrosoftの側についているところもある。IntelとAMDの両チップメーカーは、ソフトウェアのライセンス料を計算する際に、プロセッシングモジュールという考え方を使うよう勧めている。この場合、2つ以上のコアを持つチップも1プロセッサにカウントされることがある。Intelの幹部は、Microsoftの今回の判断を賞賛した。
「我々がマルチコアチップをより広範な市場に向けて送りだそうとするなかで、今回のMicrosoftのような動きがなければ、事態は随分違ったものになっているだろう」と、IntelのRichard Dracott(エンタープライズプラットフォームグループ、マーケティング/プランニング担当ゼネラルマネージャ)は述べている。
Microsoftと同様に、Novellも同社のSuSE Linuxの販売に関して、プロセッサ数に応じて料金を課すやり方を採っている。同社はこれまで、デュアルコアマシンの場合も顧客にはシングルライセンス分の料金しか課さないと述べてきている。ただし、同社の広報担当者はNovellがこのやり方を見直す可能性もあると述べている。また、Javaサーバソフトウェアを開発するBEA Systemsでは、同社のソフトウェアをデュアルコアサーバで動かす場合、標準的な1プロセッサあたりの価格の1.5倍の料金を課す計画を打ち出している。
Microsoftが今回打ち出した方針は、競合他社に対するアドバンテージとなるだろうと、Forrester ResearchのJulie Gieraはいう。同氏はソフトウェアのライセンスを専門とするアナリストだ。
「顧客が手に入れる処理能力は、現在と同じプロセッサ速度で、おそらく60〜70%増という結果になる。Microsoftへのライセンス料は1チップセット分の金額で済むため、顧客にとってこれは非常に有利な取引だ」(Giera)。
ただし、サーバメーカー各社にはデュアル/マルチコアプロセッサ搭載サーバにプレミアム料金を上乗せする余地が残されていることから、Microsoftのサーバ製品を採用しても、顧客の支払う金額が割高になる場合もあり得ると、Gieraは付け加えている。同氏は、これらのハイエンドサーバが、最新の、もっとも強力なマシンを求める大企業顧客にとっては魅力的なものになるだろうと語った。
このほか、いわゆる仮想化ソフトウェアなどの最新技術が普及することで、ライセンスに関する問題がさらに複雑化する可能性もある。仮想化技術を使えば、1台のハードウェア上でさまざまなオペレーティングシステムやアプリケーションを同時に動かせるようになるからだ。「どの企業にとっても、マルチコアチップの次には、仮想化ソフトの問題が待ち構えている」(Giera)
この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。
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