オンライン広告業界が過去最高の売上を記録するなか、業界をリードする各社は新しいネット広告測定基準への支持を表明している。
米国時間15日に、大手のウェブサイトを運営する各社と複数の業界団体が、オンライン広告のインプレッションを計算するための基準を承認したことを明らかにした。これにより、誕生からほぼ10年が経つこのメディアの前に立ちはだかっていた大きな障害が取り除かれ、本格的な普及が促進されることになる。
これらの基準を支持する業界団体のInteractive Advertising Bureau(IAB)によると、この措置により売買プロセスが簡素化され、広告関連の売上成長促進に大きな効果があるという。
IABは15日、同業界が8四半期連続で売上を伸ばしたことを明らかにした。第3四半期のウェブ広告の売上は、第2四半期に比べて2.4%増、そして前年同期比35.3%増となる約24億3000万ドルを記録した。検索関連広告が業界の成長を大きく推進し、GoogleやYahooなどの企業の売上を拡大させた。
何年も不振にあえいできたウェブ広告業界だが、ついに安定成長の軌道に戻れたようだ。PricewaterhouseCoopersが実施したIABの中間調査によると、オンライン広告の売上高は2003年通年で73億ドルだったのに対し、今年は最初の9カ月だけで約70億ドルに達しているという。もしこの傾向が続けば、2004年は最終的に、これまでの売上記録だった2000年の80億ドルを超える可能性がある。
「この業界は、急激な売上増加を特長とする創生期をすでに通過している。売上高が1桁の連続成長を記録しているのはその証拠だ」とPricewaterhouseCoopersのTom Hyland(ニューメディアグループ責任者)は声明のなかで述べている。「われわれは現在、成熟し安定した産業になろうとしている。従来のメディアを使っていた大規模なマーケッターも、この業界へのさらなる資金の投入を考えるようになっている」(Hyland)
業界を十分に成長させる過程で重要なステップの1つが、ネット広告を計測するガイドラインを確立し、業界各社からの幅広い支持を得ることだった。この問題は数年前から取り上げられており、コンテンツを発信するウェブサイトなどの各媒体と広告代理店との間で激しい議論が繰り広げられていた。広告計測手法は取扱い高と売上高に直接影響を与えるため、両者ともにこれを自らの管理下に置いておきたいと考えていた。
現在媒体側では、第3者の運営する広告サーバから広告をリクエストするコードがウェブページと一緒に送信された時点で、広告のインプレッションを計算することが多い。ただし、多くの理由から配信されたコードがコンピュータの画面に表示されない場合がある。これに対して、広告主あるいは彼らが使う第3者の広告ネットワークは、イメージ自体が配信されて初めてインプレッションを計算することが多い。
新しい広告測定基準では、媒体側と広告主側に対して、広告が広告サーバから発信された時点ではなく、ウェブページに表示された時点で「1インプレッション」とカウントすることを求めている。これは、広告主や代理店にとって有利な方法だ。
さらに、新基準には、ウェブを徘徊するスパイダーやボットが発生させる広告トラフィックを排除して計算するようにも明記されている。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。
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