検索結果に関連するキーワード広告を掲載しクリックされた分だけ課金するという新しいビジネスモデルで現在の検索ブームの一端を作ったと言われるOvertureのスポンサードサーチ。約1億3500万ドルの売り上げに成長したOvertureの海外事業を統括するBrian Steel氏に、検索広告ビジネスの日米の違い、OvertureとGoogleの違い、検索広告と従来型の広告の違いなどについて聞いた。
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--まず、Overtureの成り立ちについて教えてください。検索が再び注目されるようになったきっかけの1つはOvertureがスポンサードサーチで成功したからだと言われています。Overtureの前身であるGoTo.comはどういうきっかけでスタートしたのでしょう。
GoTo.comはIdealabというインキュベーターの新サービスとして誕生しました。IdealabのCEOであるBill Grossはマーケットメカニズムの信奉者で、顧客に決定権のある市場について考えを巡らせていました。Idealabがやることは実験的なものが多いのですが、GoTo.comの場合も、問題はいろいろあるかもしれないけど、何が起きるかやってみようという感じでスタートしたのです。
--検索結果自体を広告枠にし、その広告枠をオークションで売るというモデルはすんなり受け入れられたんですか。
最初、Billのアイディアを聞いた人たちの反応は「狂っているとしか思えない」というものでした。「広告主もユーザーも受け入れるはずがない」と。実際は数十億ドルのビジネスになったわけですが。
--なるほど。その後GoTo.comはOvertureへと名前を変え、AltaVistaやFAST(AlltheWeb)などの検索エンジンを次々と買収していきましたが、最終的にYahooによる買収に応じた --- つまり買う側から買われる側に回った背景にはどんな戦略的転換があったのでしょうか。
私はそれが戦略的な転換を意味するとは思いません。AltaVistaとFASTの買収はどちらかというと戦術的なものです。Overtureはさまざまなテストを行なうためのプラットフォームを必要としていました。もしAltaVistaやFASTが単なるパートナーであったら自社の数百万人のユーザーに対してOvertureの新サービスのテストをするなんてことはなかったでしょう。買収することによって、Overtureは新サービスをテストする場所を手に入れた上に、検索機能を強化することもできたのです。
一方、YahooによるOvertureの買収はもっと大きなビジョンに基づくものです。Overtureにとってそれは世界最大のオンライン広告媒体の一部になるということを意味します。YahooはOvertureを必要としていました。そしてYahooの業績をみれば分るように彼らにとってOvertureはとても良い買い物でした。OvertureにしてみてもYahooを必要としていたと思います。Overtureは広告配信先のパートナーサイトとのより緊密な連携を考えるべき時期に来ていました。
--つまり、OvertureがYahooに買収されたのは単独で生き残るのが難しいと考えたからですか。
独立した企業として生き残ることが難しかったとは思いません。当時Overtureは十分な利益を出していましたし、順調に成長していました。単独でも十分やって行けたでしょう。ようするにもっと規模を大きくするかどうかということだったんです。
--ではYahooはOvertureをどう生かすのでしょうか。
2つの側面があります。1つはYahooの中にOvertureの機能を生かすという方向、もう1つはOvertureのサービスにYahooの機能を生かすということです。Yahoo Search Techonology(YST)の中にはOvertureが持っていた検索技術が統合されていますが、一方でOvertureはYSTを使って検索を提供します。
同じようなことがトラベルやファイナンス、フリーメール、チャット、メッセンジャーなどのサービスにも当てはまります。Yahooの各サービスにオーバーチュアのスポンサードサーチを統合する一方、例えば、Overtureのパートナーサイトの1つが検索機能だけでなくメッセンジャーやチャット、ショッピングなどの機能も必要としていれば、OvertureはパートナーサイトにYahooの技術を提供することができます。これは同業他社と比べて大きなアドバンテージになります。
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