サンフランシスコ発--Sun Microsystemsは、Solaris OSのソースコードをリリースするという大胆な計画を立てている。だが、この計画の詳細が明らかにされるのは2005年前半になるかもしれない。
Sunは、同社版Unixの新バージョンを、ソースコードなどすべてを含めて年末までにリリースする計画で、11月15日の製品発表会ではSolarisを前面に押し出すことになっている。
Sunはこのイベントで価格の詳細を公表すると、同社のGlenn Weinberg(オペレーティングプラットフォームグループ、バイスプレジデント)は述べている。しかし、これ以外の詳細については明らかにされず、同社がソフトウェアそのものやオープンソースのライセンス条件に関する詳細を公表するのは、それから数週間以上先のことになる。
Solaris 10と、オープンソース化計画関連の詳細が年末までには明らかになるとの話についても、米国時間2日時点でWeinbergはコメントしていない。同氏は当地で行われた記者会見の席上、「近日中には発表があるだろう」と語っただけだった。
WeinbergとSun社長のJonathan Schwartzは、スケジュールに幅を持たせている最大の理由について、オープンソース化計画の詳細がまだ詰めの段階にあるためだとしている。Sunは、Open Source Initiativeなど各方面のオープンソースの関係者と、この協調プログラミング活動で協力する場合の最善策について交渉中だ、とSchwartzは説明した。
Schwartzによると、Sunはオープンソースの開発者に対し、「よい関係を築くには、どういうやり方で物事を進めていったらいいのか」を尋ねているという。
Solarisの成否はSunの将来に大きな影響を及ぼす。SunではSolarisのサポート対象を、同社のUltraSparcプロセッサを搭載したサーバから、IntelやAdvanced Micro Devices(AMD)のx86チップで動作する普及モデルにまで拡大しようとしている。これらのマシンに対応すると、SolarisはLinuxやWindowsなどの強力なライバルと同じ土俵に上がることになる。Sunはまた、SolarisをJava Enterprise Systemという上位層で動作するサーバソフトウェアの基盤にしたいとも考えている。
ライバルであるRed Hatへの攻撃心を抑えられないSchwartzは、Linux販売最大手のRed Hatがオープンソースコミュニティを不当に扱っているとほのめかすような発言をした。「コミュニティーの大勢の人々がRed Hatに軽視されていると感じている。われわれは、そのような乗っ取り行為は絶対に行わないと約束する」(Schwartz)
これに対し、Javaをオープンソース化しないとしてSunを批判してきたRed Hatは、また別の見方をしている。「コミュニティが軽視されているように感じるのは、営利企業が『オープンソース』という言葉をマーケティング面だけで利用しようとする場合だ。このようなことは、オープンなコラボレーションの長い伝統と、Linuxを世界で最も革新的かつ決定的な技術にするために注ぎ込まれた多大な努力を軽視している」(同社の声明)
Schwartzは、Sunのオープンソース化により、議論の場は現場に移るだろうとの予測を示した。
「Solarisがオープンソースになれば、開発者やエンドユーザーは一歩下がって誇張や駆け引き抜きで製品を比較する機会を得ることになる。われわれも、Open Source Initiativeが認可した、Red Hatと同じライセンスを手にするようになる。公開されたSolarisは、Red Hatと同じようにどのx86サーバ上でも動作するようになる。通常営業時間および24時間体制のサポートも提供する。1つだけ違うのは、われわれのライセンス条項の方が大幅に寛容な点だけだ」(Schwartz)
Schwartzは、Sunが無償サポートの付属する利用権ライセンスや、無償ライセンスと有償オプションサポートの組み合わせなど、Solarisをさまざまな価格設定で販売することを明らかにしている。
一方、Open Source Initiative会長のEric RaymondとSun関係者との間では、まだ正式な話し合いが行われていない。「彼らからはまだ正式な相談はない」(Raymond)
Raymondは、OpenSolarisというオープンソース版があっても、SolarisがLinuxのような地位を確立することはないと予測している。「結果として最も可能性が高いのは既存顧客に対する著作権料のてこ入れで、新規顧客の獲得はできないと思う。マーケットシェアを獲得する見通しについては懐疑的と言わざるを得ないが、彼らが行動を起こしたことはうれしい」(Raymond)
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