IP電話、POSシステムを主力事業とするNECインフロンティアの業績が順調な回復をみせている。一部市場関係者のあいだでは、来期以降で変身を遂げる可能性に注目する見方が浮上している。同社の業績向上の可能性と株価の動向について探った。
同社はもともと、NEC系の電気通信機器や同部品メーカーである日通工として知られてきたが、2001年6月1日にNECの事業所用電話システムとPOS(販売時点情報管理)端末事業を統合し、社名もNECインフロンティアに変更した。
前期の2004年3月期までは赤字基調の決算が続いていたものの、今3月期からは黒字決算が定着すると同時に、高収益企業への変身に向けて上昇軌道に乗る可能性が高まっている。同社の2005年3月期第1四半期(4〜6月)の連結決算は、売上高257億円(前年同期比10.7%増)、営業利益1億円の黒字(前年同期は16億円の赤字)、経常利益1億500万円の黒字(同16億円の赤字)と黒字転換を果たし、前年同期に比べて大幅な利益改善となった。さらに、今3月期通期の連結業績については、売上高1090億円(前期比0.4%増)、経常利益17億円(前期は900万円)、8億円(同1億6200万円)と見込んでいる。
中堅証券のアナリストは「NECインフロンティアは、今期の大幅な利益黒字転換だけでなく、来期以降も大幅増益を維持していく可能性が高い。その主力をなすのは、IP対応電話端末のシステムと各種POSシステム、業務用PDA、ハンディターミナルなどの決済端末、さらにICカードリーダー・ライターなどの事業だ」と指摘している。
そのなかでも、当面の業績拡大を支援するものとして注目したいのは、POSシステムだ。今期からすでに大口受注がスタートしており、これが来期、再来期まで継続する見通しとなっいる。この大口需要の背景にあるのがY2K(コンピュータの西暦2000年問題)に関連して整えられた設備やソフトが一斉に更新期を迎えようとしていることにある。大口受注として具体的には、すかいらーく向けPOSシステム(2800店舗・総額約40億円)をはじめ、日本ケンタッキー・フライド・チキン、モスフードサービス、モンテローザ(白木屋)などの大手外食チェーンからの受注が見込めるのに加え、イトーヨーカ堂からの総額100億円規模の受注の可能性も高まっている。
さらに来期からは、事業買収をはじめ、これまでM&Aで取り込んできた事業ののれん代償却や、IP化投資などで膨らんでいた開発費の償却が大幅に減少してくるほか、年金関連の費用の減少も見込まれることから、大幅なコストダウン効果も見込まれる。また、同社は9月中間期の決算発表を11月9日に予定しているが、同時に公表される予定の中期経営計画の内容にも注目が集まっている。
株価は8月16日に300円ちょうどの安値をつけて以降、一進一退を繰り返しながらも下値を切り上げるトレンドをみせている。今後は11月9日に発表予定の9月中間決算と同時に公表される中期経営計画の内容次第では大きく上昇する可能性も秘めている。
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