Samsungが小型ハードディスクの分野に参入しようとしている。同社では現在、直径0.85インチのディスクを使った製品を開発中だ。
Samsungの関係者は29日(米国時間)、この0.85インチ径のハードディスクが現在「研究開発の段階にある」としたが、ただし最終製品がいつ頃発売されるかについては詳細を明かさなかった。
東芝とGS Magicstorはすでに、同サイズのハードディスクの開発を発表している。このサイズのハードディスクは、先進的な機能を備えた携帯電話でのデータ保存などに利用される可能性が高い。携帯電話の巨大な市場は、ハードディスクメーカーにとって魅力的な新分野になると見られている。だが、半導体ベースの競合ストレージ技術であるフラッシュメモリに対して、0.85インチ径のハードディスクが競争力を持てるかどうかは明らかではない。
調査会社IDCのアナリスト、Dave Reinselは、音楽やその他のデータを保存する未来の携帯電話では、4Gバイト程度のストレージ容量が必要になりそうだと述べ、0.85インチ径のハードディスクならそれだけのデータを詰め込むことができると指摘した。同氏は、小型ハードディスクなら、フラッシュメモリよりも低コストで4Gバイトのデータを保存できるとしたが、しかしフラッシュメモリもこの領域に食い込み始めているという。「フラッシュメモリの価格の下がり方には驚くべきものがある」(Reinsel)
Samsungと東芝は、両社ともにフラッシュメモリを生産している点で、ハードディスク業界においてはむしろ異例な存在といえる。Samsungは、フラッシュメモリの一種であるNAND型メモリの技術に関して、東芝にロイヤリティを支払っている。
Samsungが、開発中の小型ハードディスクに、他社からライセンスした技術を使っているかどうかは、すぐには分からなかった。
Samsungは現在、デスクトップPCやノートPC向けのハードディスクを販売している。IDCによれば、Samsungは今四半期に全世界で出荷される7500万台のうち、550万台のハードディスクを出荷するという。
長年にわたって、パソコンやデータセンターで利用される大型コンピュータ向けの製品にフォーカスしてきたハードディスクメーカーは、いま家電製品にも狙いを定めている。家電向けのハードディスクには、デスクトップPCに搭載される3.5インチ径プラタよりも小型のディスクを採用しているものが多い。たとえば、Apple ComputerのiPodには、東芝製の1.8インチディスクが採用されている。またiPod Miniでは、日立グローバル・ストレージ・テクノロジーズの1インチのハードディスクが使われている。
携帯電話の市場規模に関して、IDCでは今年度の全世界における出荷台数を5億8600万台と見積もっている。さらに、2008年の出荷台数は、おおよそ7億9400万台になるという。
Samsungはハードディスクを内蔵する携帯電話をすでに発売している。だが、小型ハードディスクが携帯電話市場に大きく食い込むためには、いくつものハードルを乗り越えなくてはならないと、業界の観測筋は指摘する。こうした障害のなかには耐久性の向上や省電力化、価格の低下などがある。
携帯電話分野での小型ハードディスクの見通しに関して、IDCは控えめな見方をとっている。ハードディスクを内蔵する携帯電話の出荷台数は2005年に約50万台程度で、2008年にはこれが520万台まで増加するという。
Reinselによると、メーカー各社はこうしたハードディスクを1台あたり30ドル程度で販売しなくてはならなくなりそうだという。ハードディスク内蔵の携帯電話を大量に普及させるには、それだけ電話機本体の値段がこなれなくてはならないからだ。しかし同氏は、この値段はメーカーにとって厳しいものだという。
「1台につき30ドル(の価格)では利益を出すのはとてもむずかしいだろう」(Reinsel)
この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」