iPodよ、油断するな。
多くのメーカーが音楽プレーヤー用に小型ハードディスクを採用するようになり、米Appleの人気ポータブル音楽プレーヤーは、今後激しい競争にさらされるようになる。
米Dellは今月末までに、iPodと同じ1.8インチのハードディスクを搭載したDell Digital JukeboxというポータブルMP3プレーヤーを発売する。一方、韓国Samsungなどのメーカーは、新興企業の米Corniceが供給する、さらに小型のハードディスクを搭載したプレーヤーを売り込もうとしている。
この小型化への流れが可能になったのは、より多くの企業が小型ハードディスク事業に参入しているためだ。こうしたドライブを最初に手掛けた大手メーカーは東芝で、Appleは東芝が生産したハードディスクの大半を利用することができた。
この市場に、最近新たに参入してきたのがHitachi Global Storage Technologies(HGST)だ。HGSTは、Rio製のMP3プレーヤー用に1.8インチドライブを出荷しており、また同社の1インチマイクロドライブは、他社が提供するMP3プレーヤーのオプションとなっている。HGST広報担当のRon Schmidtは、1.8インチのドライブが「かなり有名」なメーカーの音楽プレーヤーに採用されることを、28日(米国時間)に発表すると述べたが、具体的な社名については明らかにしなかった。
Corniceも、同社のハードディスクが音楽プレーヤー市場に影響を与えることを期待している。同社は、RioやRCAが提供するMP3プレーヤーに搭載の1インチドライブを発売している。この製品は、デジタルビデオカメラ、デジカメ、そしてMP3プレーヤーとしても機能するSamsung製品にも採用されている。このSamsungの製品は、来年発表される予定だ。
1.8インチハードディスクの容量は40Gバイトで、650時間以上に相当する楽曲を収納できる。Corniceの1インチドライブの容量は1.5Gバイトで、同社によれば、およそ26時間に分の楽曲を保存できるという。ハードディスクではなくフラッシュメモリを使用するポータブル音楽プレーヤーは、コンパクトだが容量は少ない。
「今後数カ月のうちに、さらに多くのMP3プレーヤーメーカーとの契約を発表するつもりだ」と、Cornice広報担当者のPhil Gomesは述べたが、但しこれまでの出荷台数については明らかにしなかった。しかし、Corniceの主要製造パートナーは、小型ハードディスクの生産で大忙しだと述べた。「アジアにある工場は、現在フル稼働している。とても旺盛な需要がある」と、Gomesは述べた。
家電大手のソニーは、ハードディスクを搭載した音楽プレーヤーの可能性を探っているが、近い将来に発売する予定はないという。Sony関係者によれば、同社は今のところ、むしろミニディスク、フラッシュメモリやCDを使ったポータブル音楽プレーヤーに重点を置いているという。
ハードディスクレコーダーのような比較的新しい家電分野で、ハードディスクに対する需要が高まっているなかで、ポータブル音楽プレーヤー用のハードディスクも注目を集めている。家電分野でハードディスクが急成長を遂げていることは、ハードディスク業界の見通しが明るい理由の1つになっている。
調査会社米IDCは、今年出荷されたポータブルMP3プレーヤー用のハードディスクの台数が、昨年の2倍にあたる180万台になると予想しており、さらに来年にはこれが240万台に増加するという。
IDCアナリストのDave Reinselによると、東芝、HGST、Corniceなどのメーカーは、パーソナル音楽プレーヤー市場でさらに激しい競争にさらされるという。「米Seagateが市場に参入してくることは容易に察しがつく」と、同氏は話している。
調査会社米Enderle Groupのチーフアナリスト、Rob Enderleによれば、Cornice製品は比較的低コストで消費電力が少なく、かなり乱暴な扱いをしても大丈夫だという。
いっぽうで、Corniceが競争している相手は、大容量の製品を供給する大手メーカーだ。加えて、HGSTはもうすぐ改良された1インチドライブを発表する予定だ。同社によれば、この製品は、現在MP3メーカーがテストを重ねており、4Gバイトもしくは75時間分の高品質のデジタル音楽を保存できるという。同社が、これまで販売していた1インチドライブの容量は1Gバイトだった。
米Dellなどのメーカーはまた、家電市場特有の要素も考慮しなければならない。同市場では、スタイルやデザインが大きくモノをいう。Appleは、以前からデザインセンスがあることを示してきたが、Dellはデザインの良さで知られる会社ではない。またAppleは、iPod用マイクのようなアドオンデバイスを開発するようさまざまな企業を説得することにも成功している。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。
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