Adobe Systemsは9月28日、2004年第3四半期の決算報告とともに第4四半期の主な活動についての発表を行った。
第3四半期の決算概要として、前年同期比27%増となる4億370万ドルの売上を達成したこと、純利益が前年同期比62%増となることなどを発表。2004年に入ってからの売上高では、第1四半期が4億2330万ドルと最も高くなっているが、これは前年よりも1週多かったことの影響があるとして、この第3四半期が本来季節的な影響を受けやすい時期であるにもかかわらず好調であったことを強調した。第4四半期の売り上げ目標4億〜4億1500万ドルも十分達成可能であるとしている。
同社は研究開発費の目標としては売上高の20%程度を設定しているが、2004年は9月3日時点で18.1%であり、これも予定どおりといったところだ。
同社製品のうち、特に好調なのはCreative SuiteとAcrobatファミリ製品。PhotoShop Elements3.0やAdobe Premiere Elementsについては、発表時期から第4四半期に入る予定だ。総売上の21%がアジア市場からのものだという。全体に占めるアジア市場の割合は落ち込み気味に見えるが、これはヨーロッパ市場が好調であることの影響だとしている。
Adobe Systemsアジアパシフィック地域担当バイスプレジデント兼アドビ システムズ代表取締役会長のアンソニー・ネメルカ氏 |
Adobe Systemsアジアパシフィック地域担当バイスプレジデント兼アドビ システムズ代表取締役会長のアンソニー・ネメルカ氏は、同社の主要事業プラットフォームのうち「最も成長のポテンシャルがあり、今後数年はこれが続くと考えている」と、エンタープライズ市場の可能性を強調している。
エンタープライズ市場にはAcrobatファミリが含まれている。PDFは単なる印刷情報のコンテナから、フォームやセキュリティ機能、管理機能などを利用することでバックエンドシステムと統合された文書管理システムを構築できるものになっている。そのため、PDFを利用した文書の電子化といった単純なものから、フォーム機能を活用したプロセス管理など、豊富な導入事跡を持つ分野だ。
日本国内でも、民間企業だけではなく、官公庁における省内電子化や情報公開用ドキュメントの作成などに積極的に利用されているほか、ワンストップでの電子申請など導入事例は多い。
このPDFをサーバを介してより効率的に利用できるようにするサブセットが「Adobe LiveCycle」だ。Acrobatがローカル環境で個別にPDFファイルを生成するのに対し、サーバ上で一括ファイル生成が可能になるなど、大きなボリュームの処理をこなせるようになる。また、文書にセキュリティコントロールをつけたりアクセス権を設定したりして変化に対応することができるなど、より文書をセキュアに扱えるのが特徴だ。
すでに米国では導入実績がある「Adobe LiveCycle」を、第4四半期には日本市場へも紹介していきたいとしている。販売方法も、これまでソフトウェアベンダーやシステムインテグレータを経由したものばかりだったのに対して、今後は直接販売を進めていく予定だという。
直接販売を開始することに関して、アドビ システムズ代表取締役社長の石井幹氏は「従来すでに4〜5年ほど顧客と直接対話しているが、販売を直接は行っていなかったという状態」と述べる。また、今後も実際の販売は80〜90%は従来どおりソフトウェアベンダーやSIerを経由したものになるだろうと予測している。
アドビのエンタープライズビジネスの第4四半期の主な活動としては、行政/金融サービス業/製造業といったターゲット市場への訴求と、Adobe LiveCycleの普及推進を挙げている。Adobe LiveCycleに関しては、10月7日と8日に開催される金融サービス向けイベント「FIT」での紹介に加え、12月2日にはセミナーイベント「“Adobe LiveCycle”カスタマーイベント」の開催などを予定している。
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