Sun Microsystemsは、効率よくタスク処理を行う新型チップを搭載することで、今後投入するサーバを差別化したいと考えている。
Sunの幹部らは、米国時間10日午後に開かれた非公式の記者説明会で、同社がUltraSparc IVチップからこの取り組みに着手したと述べた。同チップは今年3月に登場したデュアルコアプロセッサで、現在ハイエンドの「Sun Fire」サーバでは半数に搭載されているという。
Sunは今月、UltraSparc IVプロセッサを4基ないしは8基搭載する新しいSun Fireサーバの発表を行う予定だ。同チップはこれまでハイエンドのSun Fireサーバだけに採用されていた。 現在、同社のSun Fire v480およびv880は、4基または8基のUltraSparc IIIチップを搭載し、価格はそれぞれ約2万ドルおよび3万3000ドルからとなっている。しかし、それぞれが2つのデータストリーム(スレッド)を同時処理できるUltraSparc IVチップの追加により、これらのサーバの性能は約50%向上する。このことにより、新しい4プロセッサSun Fireサーバは、8プロセッサを搭載するSun Fire v880と同等の性能を実現しつつ、価格と設置面積は現行の4プロセッサマシンとほぼ同等に抑えられると、同社のスケーラブルシステムグループでマーケティング担当バイスプレジデントを務めるAndy Ingramは説明した。
「このアップグレードによって、4ウェイ(サーバ)と同じ設置面積とコストで、8ウェイシステムのスループットが得られると言って差し支えない」(Ingram)
Sunは同日、今後登場するチップ類の詳細をほかにもいくつか明らかにした。同社は今後すべてのプロセッサに、処理スレッドを増やすためにマルチコアを採用する。苦厳しい経営を続けるは、安定した黒字への回復を目指し、IBMやHewlett-Packard(HP)などのライバルシステムベンダーと競合するために、自社のサーバライン全体のパフォーマンスを底上げしたい考えだ。
UltraSparc IVと、来年登場予定の後継モデルであるUltraSparc IV+は、Sunが今後4年間に投入していく新型プロセッサの第1弾となる。同社は、まずUltraSparc IVのクロックスピードを引き上げた後に、来年UltraSparc IV+用の新しい90ナノメートルデザインに移行する。 こうした変更を合わせると、同チップの性能は全体で2倍に改善するとIngramは語った。そして、Sunは2006年中に2種類の新型プロセッサと、もう1つ「Olympus」と呼ばれるデュアルコア、そして32スレッドの処理が可能な「Niagara」と呼ばれるマルチコアチップを投入する。また、データベースなどのアプリケーションを高速化するハイエンドチップとして設計されているRockは、2008年に登場するとIngramは語った。
しかし、Olympusの開発が決まるまでの道のりがは平坦なものではなかったSunは、それまで3年間にわたって売上の減少が続き、何度も人員解雇を実施してきた末に、第4四半期には久しぶりに黒字化したと7月に明らかにしていた。そんな同社は、UltraSparc Vの開発を断念し、かわりに富士通と共同でOlympusの開発を進めることにした。
Olympusはデュアルコアとなるが、簡単にいうとこれは富士通のUltraSparcチップ2個を1つのチップに搭載する形になる。いっぽう、Niagaraはウェブサーバのようなアプリケーションを想定して設計されており、マルチコアを採用することで同時に32スレッドまで扱えるものになる。またNiagara 2という2番めのバージョンは、こうしたアプリケーションへの特化をさらに進めると同氏はいう。65ナノメートルプロセスで製造されるNiagara 2は、2008年度中に登場すると予想されている。
SunはIBMのような競合相手からの厳しい競争の直面している。IBMのハイエンドサーバはPower 5チップを搭載しており、またIntelでも2005年にデュアルコアのItaniumチップをリリースする計画だ。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。
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