サンフランシスコ発--Sun Microsystemsは、同社の将来のハイエンドプロセッサ「Rock」に関して、これを搭載したサーバを2008年までにリリースする計画を進めている。これは、劣勢に立たされたSparcプロセッサ製品を長期にわたって支持していくとのSunの姿勢を示すものだ。
Rockプロセッサ製品では、ローエンドモデルのNiagaraとともに、チップ・マルチスレッディングと呼ばれる設計が採用される。この設計のチップでは、1つのプロセッサ上で複数のタスクを同時に処理できるようになる。以前「30x」という開発コード名で呼ばれていたRockは、2003年に登場した1.2GHzのUltraSparc IIIよりも30倍高速に動作するよう設計されている。
「Rock搭載システムは、2008年より前には登場しないだろう」とSunでスケーラブルシステム部門のマーケティング・バイスプレジデントを務めるAndy Ingramは、米国時間15日に開かれた報道関係者や証券アナリスト向けのミーティングで語った。だが、富士通とSunが提携し、Sparcサーバの開発と販売を共同で行うことになったため、Sunは同製品全体の登場時期を早めることができるだろう、と同氏は説明した。
Sparc製品に関してしっかりとした将来像を描き出すことは、顧客、ソフトウェアメーカー、ビジネスパートナーらが、競合するプロセッサ製品群に移るのを食い止めようとするSunの取り組みにとって重要だ。ドットコムバブルがはじけ、その後の不況でSunの屋台骨が傾くなかで、 IntelのXeonやAdvanced Micro Devices(AMD)のx86プロセッサ、IBMのPower、IntelとHewlett-Packard(HP)によるItaniumなどの各プロセッサは、Sunのシェアを侵食し続けている。
IBMでも、同社のUnixサーバ製品に関して、長期的なロードマップを公開している。先週発表された情報によると、同社のPower7プロセッサは2008年に登場し、そのアップグレード版であるPower7+は2009年に登場するという。
Sunでは当初、Xeon搭載システムを消極的に扱っていただけだったが、いまではOpteron搭載サーバを積極的に打ち出すなど、同社の x86プロセッサに対する姿勢は大きく変化している。だが、同社のハイエンドサーバ計画にとって、Sparcチップは非常に重要で、自社の命運を自分でコントロールしたいと考えるSunにとって、このチップは無くてはならないものといえる。
同社は代々、独自のプログラミング言語やSolarisといった社内の技術を優先し、Microsoft Windowsのような業界トレンドに逆らってきた。だが、この独自戦略は同社がx86プロセッサやLinuxといった外部のトレンドを取り込むことを難しくしていた。
Sunは、富士通との提携によって、自律性をいくらかあきらめなければならなかった。だが、SunにとってこれはUltraSparc Vの開発をご破算にし、エンジニアたちをRockの開発に振り向ける機会でもあった。「Millenium」という不吉なコード名を与えられたUltraSparc Vは、当初は何年も前に登場する予定だった。
「Millenniumと関連システムの開発に投入されていた大量のリソースが、現在ではRockとその関連システムに向けられている」(Ingram)
競合他社のなかには、SunがUltraSparc Vの開発を中止し、富士通と提携したことについて、同社の計画が安定性を欠き信頼できないことを示すものとして冷やかすところもあった。だが、この計画変更には意味があるとSageza GroupアナリストのCharles Kingは述べている。
「富士通との提携は、Sunにとって可能ななかでも、最も賢明な判断の1つだというのが私の意見だ。さまざまなベンチマークの結果によると、富士通はSunよりもSparc開発の点でいい仕事をしている」(King)
Rockシステムについての発表は、長期計画を有する顧客へのメッセージの意味合いがあるとKingは説明している。「純粋にPRの点から考えると、長期的な戦略を打ち出して前に進むことは、Sunにとって非常に重要だ」が、しかしRockが結局どの程度の実用性を持つかについては、依然としてよく分かっていない。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。
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