Sun Microsystemsは、業務縮小の一環として、計画していた2種類のチップの開発を中止した。
Sunは、来年後半に登場するはずだったサーバチップのUltraSparc Vと、ウェブサーバ向けデュアルコアチップのGeminiの開発を中止したと、同社の広報担当が正式に認めた。
「黒字回復に向け、われわれは難しい決断をいくつか下さなくてはならない」(広報担当)
UltraSparc VとGeminiの時期尚早とも思える開発中止は、Sunの将来と、プロセッサのデータスループット向上を目指す同社のスループットコンピューティング構想をいつくかの点で簡略化することになる。
この新戦略では、Sunは当面の間、今年初めに登場したUltraSparc IVの派生製品を自社サーバに搭載することになる。UltraSparc IV+と呼ばれている派生製品には、データアクセスを高速化する高速キャッシュが内蔵される。
そして、2006年後半から2007年にかけて、同社はマルチコアでマルチスレッドのチップ、Niagaraをリリースする。NiagaraはSunのサーバシリーズ全体に徐々に採用されていく。同チップはAfaraから取得した技術をベースにしているが、SunのSolaris OSと互換性を持つようになる。Sunには「Rock」と呼ばれるマルチコアチップがもう1つあり、これもほぼ同時期に登場する。
UltraSparc IVと異なる設計をベースにしたUltraSparc Vが投入されれば、Sunと同社の顧客は全く新しいチップを導入した後数年で、今度はこれをフェーズアウトさせなくてはならないことになっていただろう。サーバの顧客は技術の移行を最小限に抑えようとする傾向がある。
一方のGeminiは例外的な製品だった。今年登場予定の同チップは、Sunが1999年以来手を加えていないUltraSparc IIコア2基で構成されている。同チップの存在は、Sunが2コアチップの製造能力を示すための意味もあったが、これは後にUltraSparc IVで証明されてしまった。
その一方で、今回の開発中止は、チップ製造という難しい業界でSunが直面している問題を浮き彫りにしている。複数のアナリストやベンチマークテスターによると、Sunのプロセッサはここ数年、IBMやIntelなどのチップにパフォーマンス面で次第に遅れを取ってきていたという。同社はまた、定期的に製品の出荷延期も余儀なくされていた。Intelなど、他社も製品発売を延期しているが、それでもこれらのメーカーはマーケットシェアの拡大に成功している。
Insight 64のアナリスト、Nathan Brookwoodは、「SunはUltraSparc IIIでかなりの遅れを出してしまった。2000年に出荷が予定されていたのに、実際に製品ラインに乗ったのは2002年だった。これでNiagaraやRock担当者へのプレッシャーが多少高まった。彼らは開発の送れが許されなくなってしまった」と語った。
Sunは大幅な遅れを出すことなく何とかUltraSparc IVを出荷したが、同チップはまったく新しい製品というわけではなく、UltraSparc IIIのコアを2基搭載している。
UltraSparc VとGeminiは、手を付けていない部分もかなり残ったが、高いレベルに達した。UltraSparc Vはテープアウト、つまり設計が完了している(昔は、エンジニアがチップの設計を終えると、コンピュータの紙テープを別のグループに引き渡していた)。
Sunは3300人の社員を解雇する予定だが、UltraSparc VやGeminiのプロジェクト要員の多くはSunに残ると、先の広報担当は述べている。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向け に編集したものです。
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