ミロク情報サービス(MJS)と日立ソフトウェアエンジニアリングは8月30日、中小・中堅企業をターゲットとした財務システムの構築・販売に関して包括的業務提携を行うと発表した。両社の製品を組み合わせて販売するほか、オンライン上で金融機関から資金調達できる仕組みを整える。9月より製品を販売し、1年で20件以上の受注を目指す。
MJSは会計事務所を中心にERPの販売や経営情報サービスなどの提供を行っている。約8400社の会計事務所を顧客として抱え、同業界では約24%のシェアを持つという。ただし会計事務所は寡占化が進んでおり、今後の業績拡大には会計事務所が顧客として持つ約56万社の企業に対するサービスの強化が必要と判断した。
ミロク情報サービス代表取締役副社長の是枝周樹氏(左)と日立ソフトウェアエンジニアリング執行役専務の山本章治氏 |
一方の日立ソフトは年商500億円以上の大企業を顧客基盤として持つが、事業拡大のため中小・中堅市場の参入を狙っていた。ミロク情報とはお互いに持つ技術や顧客基盤が異なるため、「非常にきれいな補完関係が描ける」(日立ソフトウェアエンジニアリング執行役専務の山本章治氏)と判断したという。
両社はまず、それぞれの持つ製品やソリューションを組み合わせ、共同で販売活動を行う。具体的には日立ソフトの情報漏えい防止ソリューションである「秘文」などのセキュリティ製品群とMJSの会計事務所向け製品を組み合わせて、安全性の高い財務・税務システムなどを提供していくという。9月末に出荷予定で、販売価格は規模によって異なるが1件当たり1500万円程度となる見込みだ。
さらに2005年には、中小企業がオンライン上で金融機関から無担保融資を受けられる仕組みを整える。MJSが持つ国税庁認定の電子証明書を利用し、電子申告・申請のほか、融資判断材料をオンラインで金融機関に提供する。特に財務諸表などの電子文書の保存機能において、日立ソフトの電子帳簿ソリューションを活用する方針という。すでに地銀や都銀など5、6行との話し合いを進めているとのことだ。
e-Japan戦略で業務の電子化や中小企業の資金効率の向上が推進されていることから、同サービスにはかなりの需要があると両社では見ている。日立ソフトウェアエンジニアリング執行役の小川常昭氏は「最初はソリューションを組み合わせた製品の販売が主となるが、3〜4年後には金融関連サービスが相当大きな市場になるのではないか」と期待を寄せた。
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