Hewlett-Packard(HP)は米国時間27日、大型平面テレビや音楽プレイヤー、そしてこれらの間でコンテンツをやりとりするためのデバイスなどを発表し、家電分野において同社のブランドを確立する計画を説明した。
予想された通り、HP最高経営責任者(CEO)のCarly Fiorinaは、27日午前にマイアミで開いた記者発表のなかで膨大な数の新製品を発表したが、このなかには同社初のテレビや自社ブランドのApple iPodミュージックプレイヤー、そしてデジタルビデオレコーダが搭載され、映画や写真などのコンテンツを保存できる、ステレオのような外観の新しいHP Digital Entertainment Center PCなどがふくまれる。またHPは、デジタルカメラの新機種を複数投入するとともに、新型プリンタ数機種も発売、さらにプリンタ用のインクに「Vivera」という新しいブランド名を与えた。
HPは、これらの新製品を一緒に提供することで、新時代を受け入れようとしている消費者の要求を満たしていくと述べている。Fiorinaはこの新時代を、音楽や写真などのデジタルコンテンツが技術の進化のおかげでモバイル化し、パーソナル化するデジタル時代と呼んでいる。
「かつては技術が役に立つ範囲も限られていた。だが、デジタル時代には自分たちの想像力以外に制限はない」(Fiorina)
直近の四半期決算が期待はずれに終わった同社は、家電分野にもチャンスを見いだしている。
「われわれは、デジタル製品全体を合わせた市場規模が2007年には3600億ドルに達すると考えている。主導的な立場を確保し、各方面で知的財産を所有するわれわれには、他社にはないチャンスがあると思う。HPが今後何年にもわたって成長していくチャンスだ」(Fiorina)
ソニー、パナソニック(松下)、Samsungなどと比較すると、HPの製品ラインはかなり見劣りするが、実際同社には家電大手各社と真正面からやり合うつもりはない。だが同社は、AppleのiTunes音楽配信サービスやプリンタ用インクのブランド展開といった新しい製品ラインや戦略を利用し、GatewayやDellなどのライバル各社を次第に駆逐していきたい考えだ。ただし、これらのライバルの側でも、ファイルやインターネット回線などのリソースをPCと共有する「コンバージェンス」家電製品を家庭に続々投入したいと考えている。
だが実際には、HPがデジタル時代に対して描くビジョンは、デスクトップコンピュータ、モニタ、プリンタ、カメラをひとつのパッケージとして売り込む、同社のPC販売戦略を反映したものといえるようだ。同社は、リビングルームでも同社のデジタルテレビ、iPod、PC、プリンタといった製品を消費者に一緒に使わせたいと考えている。同社は、消費者が全家電製品をHPで揃え、テレビ番組や映画、音楽や写真を鑑賞・保存・共有するようになること望んでいる。
HPによると、同社版のApple iPodには、20Gバイトと40Gバイトの記憶容量を持つ2つのバージョンがあり、それぞれ最大で5000もしくは1万曲が保存可能だという。同ミュージックプレイヤーの価格は、Appleバージョンと同じ299ドルおよび399ドルに設定される。
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