Hewlett-Packard(HP)は米国時間23日に、Alphaプロセッサの最終モデルを発表する。
1.3GHzで動作するAlpha EV7zは、HPのロードマップでは最後のAlphaプロセッサになっていることを同社広報が正式に認めた。このプロセッサは、既存の「HP GS 1280」サーバに組み込まれることになる。同サーバは最大64基のプロセッサを搭載でき、価格は数千ドルだ。
HPでは、この先新しいバージョンのAlphaプロセッサを発表する計画はないが、2006年までAlphaサーバの販売を続け、サポートは2011年まで提供していく。同社は、Compaqとの合併が完了して以来、(Alphaサーバの)ユーザーに対して別のサーバプラットフォームへの移行を促してきている。
Digital Equipment(DEC)が開発し1992年にリリースしたAlphaチップは、その優れたパフォーマンスで、アナリストやベンチマークテスターらから何度も賞賛を浴びたチップだ。最初のAlphaプロセッサは、それまでにない200MHzという速度で動作した。64bitプロセッサのAlphaは、複数のOSを動かせるように設計されており、実際Unixに加えてMicrosoftのWindows NTも稼働した。また25年もの製品寿命があると見られていた。
Alphaチップは、1999年に通常状態でのクロック周波数が1GHzに達した初のプロセッサでもある。
DECにとって不幸だったのは、Alphaチップ(そして同チップを搭載したサーバ)が一部の熱狂的なユーザーにしか支持されなかったことだった。同チップは値段も高く、その上で動作するアプリケーションを見つけることは、ユーザーにとって恒常的な悩みの種だった。
Alphaシステム販売の伸び悩みから、Microsoftは同アーキテクチャ向けのWindows NTの出荷を1999年に打ち切った。
「実にたくさんの研究成果が盛り込まれていたが・・・残念ながら、あまりに時代を先取りしすぎていて、営業サイドがそれを売り込めなかった」と、特許コンサルタントであり、DECのライバルであったData Generalで以前エンジニアとして働いていたRichard Belgardはいう。「Alphaはすばらしいテクノロジーだ。しかし、今更もうひとつ別のマイクロプロセッサを必要とする者など、どこにもいないだろう」(Belgard)
Compaqは、同社がDECを買収した1999年にAlphaの技術を入手したが、その後今度はCompaqを買収したHPがAlphaのオーナーとなった。Samsungがライセンスを受けて、Alphaチップの開発を行ったこともあったが、これも結局うまくいかなかった。
販売こそ振るわなかったものの、Alphaプロセッサ(そして同プロセッサを開発したエンジニアたち)は直接的/間接的に、業界に影響を与えている。Advanced Micro Devices(AMD)から登場した最初のAthlonプロセッサでは、元々Alpha向けに作られたバスを採用している。その次に登場したOpteronプロセッサでは、「HyperTransport」と呼ばれる高速なチップ間接続技術や統合型メモリコントローラを採用しているが、これらの技術はかつてAlpha開発チームが売り込んでいた技術と似ている。AMDの幹部でプロセッサ部門責任者であるDirk Meyerは、Alphaチップの開発に携わっていたこともある。
昨年、Alphaの設計に携わっていた多くの人間が、HPを離れてIntelに加わった。DigitalのAlpha開発チームが1990年代に取り組んでいたマルティスレッディングに関する研究は、現在Intelがつくるサーバおよびデスクトップ用チップに採用されている「HyperThreading」という技術に大きな影響を与えている。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。
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