原油価格の高騰、イラク戦争、米国経済の先行不安の影響で、ハイテク市場は低迷しているが、Hewlett-Packard(HP)やCisco Systemsの決算発表は、市況のさらなる悪化を暗示している。
HPが米国時間11日朝に発表した第3四半期の業績は、予想を大きく下回り、市場の混乱を招いた。発表によると、同社の利益は5億8600万ドル(1株あたり19セント)であった。償却資産や買収関連費用を除いた場合、同社の利益は1株あたり24セントとなる。これらの数字は、1株あたり31セントというアナリストの予想を大幅に下回る。またHPは当初、来週以降に決算発表を予定していたため、今回の発表は市場関係者にとっては二重の驚きであった。
一方、Ciscoは9日の業績発表で、第4四半期の業績は概ね同社の予想通りだったものの、今四半期の売上は横ばいになるとの見通しを示した。2社の業績発表後、両社の株価はもとより、ハイテク銘柄が全体的に値を下げた。
しかしアナリストらは、HPの業績不振の原因は景気の低迷よりもむしろ同社の経営能力にあると指摘する。
市場調査会社IDCのストレージ業界担当アナリストJohn McArthurは、「(HPの業績不振は)ハイテク業界全体の問題ではなく、HP固有の問題だ」と語った。
HPは、サーバとストレージシステムの売上不振が特に目立っている。同社とは対照的に、ストレージ専門メーカーのEMCは最近、ストレージハードウェアの売上が16%も伸び、またDellやIBMの業績も比較的堅調だ。
12日に決算発表を予定しているDellは、今年7月に売上予想を上方修正している。
それでも、今回のHPとCiscoの衝撃的な決算発表のおよそ1カ月前には、ソフトウェア部門から芳しくない業績発表が相次ぎ、ハイテク業界は打撃を被ったばかりだ。ソフト部門の業績不振の原因は、売上の低迷、完全とは言い難い製品計画、甘すぎた見通しなど多岐に渡った。業績が振るわなかった主なソフトメーカーとしては、Veritas Software、PeopleSoft、WebMethods、Siebel Systemsなどが挙げられる。
調査会社Gartnerのアナリスト、Martin Reynoldsは次のように語った。「原油、金利、イラクなどの不安定要因により、大手企業でも今後の事業の見通しは不透明なようだ。彼らは『事業拡大の速度を多少緩めるつもり』と口をそろえている」
「(にも関わらず)これまでHPは、個々の問題にどのように対処するか述べてきた。そして、その結果が今回の(衝撃的な)決算発表だ。同社もこの結果は予想できたはずだ」(Reynolds)
HPのライバル各社は同社に対し、悔やみの言葉を述べている。
IBMの広報担当のClint Roswellは、「IBMに対する需要は非常に高い」とし、「競合他社の中にはこれを認識できていない企業もある。しかし、それは企業の経営能力の問題だ」と語った。
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