サンフランシスコ発--今、米国は経済的利益を共有する時代への転換期を迎えており、それが実現すれば反米感情は収まり、全ての人がコンピュータ技術市場拡大の恩恵を享受できるようになるかもしれない、とRed Hatの最高経営責任者(CEO)Matthew Szulikが米国時間3日に述べた。
「本当の課題は・・・パイを大きくすること、慣習に挑戦すること・・・そして、自分たちのパイを守ろうとはしないことだ」とSzulikは述べた。
利己主義を捨てたことにより、広範囲にわたる大きな利益が社会にもたらされた例が過去にあるとSzulikは述べ、小児麻痺のためのソークワクチンや、第二次世界大戦後の欧州経済復興のためのマーシャルプランについて言及した。
分かち合わなければ、米国に対する「怒り」や「離反」といった感情が、諸外国で増え続けるだろうとSzulikは語り、中国やインド、東欧諸国は今、その怒りの矛先を米国に対抗する技術/科学競争に向け始めていると語った。
何とも楽観的な主張であるが、これは、自ら株価下落の種をまいてしまったRed Hatが財務上の課題に直面するさなかで語られた。7月にRed Hatは、Linuxのサポート契約の売上を月割りでなく日割りで計上するように会計手法を切り替えるとして、過去3年分の業績修正を発表した。また、米証券取引委員会(SEC)からは、同社の年次報告書についての「コメントレター」を受け取っていた。さらに6月には、最高財務責任者(CFO)のKevin Thompsonが突然辞職した。
Szulikは、講演の最後に質問を受け付けたが、これらの問題についてはコメントを避けた。
1時間の会議の中でSzulikは、インドのA.P.J. Abdul Kalam大統領が自分に対して、オープンソースソフトウェアを使ってインドの教育を促進することに熱意を持っていることを語ってくれた、と述べた。しかし、その一方で、自分の地元では、学校にLinuxの正確な発音を教えるのさえ骨が折れるとも付け加えている。
Szulikのこれらの提言は、当地で開催中のLinuxWorld Conference and Expo開会時の基調講演のなかで発せられたものだ。同フォーラムで彼が利他的な論調の講演を行ったのは、少なくともこれで3度目だ。Szulikは、2003年には、オープンソースプログラマに対し公益のために団結せよと警鐘を鳴らし、2001年には、Linuxを活用して教育を促進しようと呼びかけた。
共有という概念は、誰もが自由にソフトウェアを見て、使って、変更して、再配布できるという、オープンソースプログラミングの本質的な部分だ。Red Hatは、Linux OSやハイレベルなオープンソースソフトウェアのサービス契約を販売して利益を上げている。
Szulikは、自社製品についてもわずかしか触れず、同社の最近の財務問題については全く触れなかった。Red Hatは、自社のLinux製品のサービス契約を新規に何万件も獲得して利益を上げているが、6月の業績修正発表後、株価が急落している。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。
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