IBMが米国時間7月31日、プロセッサをより自律的に動作させる技術であるとして、eFuseを発表した。
IBMの関係者によると、eFuseは各チップに多数の微細な電気ヒューズを追加したもので、特殊なソフトウェアと組み合わせて使うと、チップが内部回路を自分で変更し、問題を回避できるようになったり、処理効率を上げられるようになるという。
IBMでは、これらのヒューズについて、余分なコストをかけずにチップに焼き付けることができると述べ、個々の回路の速度を制御することでパフォーマンスや消費電力を管理する役割を果たすと付け加えた。また、特定の欠陥を修正したり、これを回避したりすることもできるという。たとえば、回路の速度が極端に速い、または遅い場合は、このヒューズが電圧を変化させて、速度を上下させることができる。
一方、メモリなど、チップの一部に問題が発生した場合は、チップのほかの部分に影響を与えず、問題の部分だけ機能を停止させることができる。同時にeFuseでは、チップの機能を変更したい場合や、顧客に低消費電力化やパフォーマンス向上を要求された場合も、チップをプログラミングし直すことができる、という。
eFuse技術はIBMが昨年3月に発表した大規模な開発戦略の一部。サードパーティーに設計を担当してもらったり、対応するハードウェアやソフトウェアを開発してもらうことでPower Architectureプロセッサのパフォーマンスを大幅に向上させるのがこの戦略の目的。
IBMは、eFuseなどの新しい機能を追加したり、Powerチップに対応するソフトウェアやシステムを改善することで、同チップのパフォーマンス向上を目指している。同社では、パフォーマンス向上にはこれら3つの要素すべてが必要だと考えている。同社のチップ設計担当者は、クロックスピードを上げるといった従来の手法は実現が難しくなりつつあるため、パフォーマンスを向上させるには新しい方法が必要だ、と話している。そこで同社は、eFuseなどの新戦略のほかにも、1つのチップに2つのプロセッサコアを搭載したり、サードパーティーのハードウェアおよびソフトウェア関連ベンダに一層の協力を求めるといった手法を頼みの綱としている。
この目的を達成するために、IBMではPower Architectureのオープン化をさらに進め、それに関する情報をいっそう容易に入手できるようにしている。特に、Powerを採用したハードウェアやそれ向けのソフトウェアの設計を簡単にしたいというのが同社の考えだ。
IBMは、Power Architectureに特化したオンラインコミュニティを立ち上げ、サードパーティによる同チップ関連のハード/ソフトウェア開発を増やす取り組み を開始している。
eFuseはIBMの多くのチップ製品ですでに採用されていると同社は語った。この技術は、ニューヨーク州イーストフィッシュキルにある同社のチップ製造施設がPower5などの生産に利用している、90ナノメートル製造プロセスの一部である。またeFuseは、バーモント州バーリントンにある同社の工場でも使われている。同工場は、シリコンゲルマニウム技術を使ってコミュニケーション用チップ製品を製造しており、これらは携帯電話のような通信機器に採用されている。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス