波状効果
音は波のように移動する。池に小石を投げ込むと波が外側に向かって進むのとほぼ同じだ。繁華街の音は、小石を同時に複数投げ込んだときの池のように複雑で入り組んでいる。
Brandenbergのチームは、大量さまざまな小石が投げ込まれた池の水面を音で表現することを目指している。
このために、彼らは多数の小型スピーカを、場合によっては最高300あるいは400台にも使う。馬が劇場の中央通路を駆け抜けるときのような部屋全体の音の波も、複雑なアルゴリズムが正確にこれを解析する。
そして、300台の大量の小型スピーカがそれぞれに必要な音の部品を鳴らし、部屋全体に完全な仮想の「絵」を描き出すという仕組みだ。
Todd-AOというポストプロダクションのレコーディングエンジニアで、ロサンゼルスで行われたIosonoのデモの手伝いに呼ばれたStanley Johnstonは、「これは実に驚異的だ。サウンドミキサーやサウンドデザイナーは、これまで経験したことのないレベルで部屋全体(での音の鳴り方)を細かく調整できるようになる」と語った。
この種のサウンドは比較的作り出しやすい。開発者らは、サウンドエンジニアがどこから音が聞こえてくるかを正確に指定できるように、ライトペンを使う操作用コンソールをつくりだした。このコンソールでは、バックエンドでソフトウェアがそのための計算処理を行う仕組みとなっている。そして、この結果を受け取った劇場などにあるデコーダーが、具体的な部屋の大きさや形に合わせて、それをサウンドに変換する。
この技術はまだ高価なため、一般のシネコンなどに登場するのはだいぶ先の話になりそうだ。Fraunhoferはこの技術をライセンス供与しようとしているが、それだけでも1万〜1万5000ドルになるという。さらに、この技術を利用するためには、強力な計算処理用ハードウェアを用意し、また数多くのスピーカーを制作現場を取り囲むように配置する必要があるが、これは現時点ではきわめて高価だ。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。
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