「半導体市場は短期的に見ると景気の山と谷が繰り返されているが、30〜40年の幅で見れば、PCや携帯電話など新しいアプリケーションの登場に伴って規模の拡大が続いている。2006年に若干の落ち込みはあるが、2007年以降は再び成長が続くだろう」---半導体やフラットパネルディスプレイ(FPD)の部材・製造装置メーカーの業界団体SEMI(Semiconductor Equipment and Materials Institute)の会長に就任した東京エレクトロン取締役会長の東哲郎氏は7月22日、半導体市場の今後の見通しについて記者団に語った。
SEMIは世界の主な半導体/FPD製造装置・材料メーカーが所属する非営利の工業会組織。東氏は今年7月、会長に就任した。任期は2006年6月までの2年間。これまでに会長を務めた日本人としては、ニコン代表取締役会長兼CEOの吉田庄一郎氏、ディスコ代表取締役会長の関家憲一氏がある。
SEMI会長に就任した東京エレクトロン取締役会長の東哲郎氏 |
東氏は半導体市場の成長を支える要因として、携帯電話やデジタル家電の普及、デジタル放送への移行に伴うテレビの買い換え需要を挙げる。「例えば携帯電話の場合、欧州でカラー液晶やカメラを搭載した端末が伸びている。また、デジタルカメラの登場で1人1台の時代になり、需要が急増した。2010年以降は世界各地でアナログ放送が終了し、大規模なテレビの買い換えが起こるだろう」(東氏)
「半導体の年平均成長率は10%程度を保っており、今後も成長が約束されたマーケットだ」(東氏)
世界の半導体製造装置市場規模については、2004年が前年比63%増の361億6000万ドル、2005年が同24%増の448億3000万ドルと大きな成長を見込む。材料市場については2004年が同13%増の259億8000万ドル、2005年が同8%増の281億5000万ドルと予測している。
会見に同席したSEMIジャパン代表の内田傳之助は、「BRICs(ブラジル・ロシア・インド・中国)の急激な成長によって、消費者心理の積極的な連鎖反応が世界的に起きている。ここ数年は思わぬ需要が爆発的に伸びるといった動きが続くのではないか」と話し、インドや中国など多くの人口を抱える国が経済発展を遂げるなかで、需要の拡大は続くとの見通しを示した。
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」