「半導体産業は2年前に底を打って以来回復基調にあり、2004年度の成長率は最低でも25%だろう」。Gartnerのリサーチバイスプレジデント リチャード・ゴードン氏は、ガートナージャパン主催の「Gartner Predicts 世界半導体市場展望」セミナーにて講演を行い、半導体メーカーの勢力図などを示すとともに同市場の見通しが明るいことを強調した。
ゴードン氏は、2003年度の半導体メーカー上位20社の売上ランキングを示し、Intel、Samsung、Texas Instruments、東芝など「Motorola以外の上位20社はすべて売上高を伸ばした」と指摘する。シリコンウエハの需要増やファブの稼働率が90%を超えていることなど、同市場にはプラス要因が多いとしている。
Gartnerリサーチバイスプレジデント リチャード・ゴードン氏 |
2003年度の世界の半導体全体の売上高は、合計1772億2400万ドル。そのなかで半導体デバイス別の売上高の構成は、マイクロプロセッサとASSP(Application Specific Standard Product)がそれぞれ23%、メモリが19%、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)が10%、トランジスタやダイオード、コンデンサなど単機能の半導体素子であるディスクリート半導体が8%、LEDやイメージセンサーなどのオプティカルが5%となっている。ゴードン氏は、「なかでもメモリ、ASSP、オプティカルの成長率が高い」としている。
メモリベンダーの2003年度の売上高では、Samsungが2位以下を大きく引き離して首位をキープしている。2位以下は、Micron Technology、Infineon Technologies、Hynix Semiconductor、東芝と続く。SamsungはDRAM、SRAM、フラッシュメモリで首位となっており、NOR型フラッシュメモリではAMDと富士通の合弁であるFASLがIntelを抜いて首位に立ったという。
ASSPベンダーではワイヤレス重視のベンダーが堅調で、シェアの高い順にIntel、QUALCOMM、STMicroelectronics、Infineonとなっている。デジタルカメラやカメラつき携帯電話の需要が本格的に成長したイメージセンサー分野では、ソニーをトップに、シャープ、Agilent、東芝、ルネサス テクノロジ、松下電器産業など、日本企業のシェアが高くなっている。
アプリケーション別に見た2003年度の半導体市場は、コンピュータが全体の36%を占めており、家電が17%、ワイヤレス通信が16%、ワイヤード通信および自動車がそれぞれ8%となっている。
コンピュータ市場では相変わらずIntelの優勢が続いており、2位以下のSamsung、Micron、Infineon、Hynixと大きく差をつけている。32ビットMPU市場での同社のシェアは90%。AMDは2003年に64ビットMPU市場に参入、同市場では1位を獲得した。
ワイヤレス市場では、Texas Instrumentsが引き続き首位を確保しており、QUALCOMM、STMicroelectronics、ルネサス テクノロジ、Intelと続く。同市場をけん引しているのはデジタル携帯電話で、ワイヤレスASSPとフラッシュメモリベンダーが利益を受けているという。
アプリケーション別に見た半導体を成長率の高い順に並べてみると、テレビ(デジタルおよびCRT)が前年比成長率41.4%、民生用ディスプレイが40.8%、USBなどのRS3(Removable Solid-State Storage)が35.2%、デジタル携帯電話が31.1%、ストレージネットワークインフラが29.1%などとなっている。
ゴードン氏は、半導体市場の成長率は当分手堅いと見ており、「需要も下がることはないだろう」としている。「このトレンドを促進するようなキラーアプリが存在するかどうかはわからないが、キラートレンドは今後も次々に登場するだろう」と述べた。
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