さまざまなメーカーから携帯型のデジタルメディアプレイヤーが出始めている。しかしiPodのようなMP3プレイヤーが音楽業界を変えたように、これらの製品がすぐに市場に変化をもたらすとの期待はほとんどない。
携帯型のビデオプレイヤーには、大容量ハードディスクと小型カラー画面がついており、消費者がテレビの番組や映画、音楽、写真などのデジタルコンテンツをダウンロード/保存/閲覧できるようになっている。
SamsungやCreative Labs、Archosといった各メーカーは、たとえばテレビの深夜番組を録画して、それを朝の通勤時間に地下鉄内で見られる、といったポータビリティと使いやすさを売り込もうとしている。これらのメーカーでは、Apple ComputerのiPodが好調な売上を記録していることから、モバイルビデオにも大きな可能性があると考えている。
しかしiPodほど大きな成功を収めるまでの道のりには、重大な落とし穴がいくつもある。Apple Computerとソニーという流行の携帯機器を作り出す2大メーカーがビデオプレイヤーの発売を急いでいないのは、そのためかもしれない。
「これは当初アーリーアダプタ向けに販売されるが、やがてはヒット商品になると期待している。アーリーアダプタこそ、人々が(購入についての)アドバイスを求めに行く相手だ」と、MicrosoftでPortable Media Centerのプロダクトマネージャーを務めるJames Bernardは述べている。Portable Media Centerは、同社がまもなく発売するビデオ機器用ソフトウェアだ。
短期的には、コンテンツ配信サービスは少なく、また消費者が空港での待ち時間や電車・バスでの通勤時にビデオを持ち歩くという発想に慣れる必要がある。これと対照的に、何百万もの消費者は、MP3が登場する前から、すでにウォークマンや携帯型CDプレイヤーといった音楽再生機器を利用することに慣れ親しんでいる。
「ビデオを持ち歩く必要がある人々の需要をすべて合わせても、一日のなかで音楽を聴く時間のある人々の需要よりも小さい。音楽を聴くという行為は、ビデオを見るよりも受身の行為なのだ」とNPD Techworldのアナリスト、Ross Rubinは述べている。「ジョギング中にビデオを見るのは難しい」
4月末には、Apple最高経営責任者(CEO)のSteve Jobsも、iPodのビデオ版がまもなく登場するかとの質問に対し、Rubinとほぼ同様の答えを口にしていた。iPodは前四半期だけで、86万台の売上を記録したヒット商品だ。
「映画を見ながらでは、車は運転できない。たとえできたとしても、非常に難しい」(Jobs)
音楽は、何か別のことをしながら聴くという場合が多く、このことからAppleはオーディオに的を絞ったのだ、とJobsは説明していた。
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