高品位テレビなどへのデジタルテレビ信号の送信に使用される接続方法をめぐって、現在映画会社と家電メーカーは不透明な戦いを続けているが、この戦いの結果によって今後の家庭用ビデオ録画の行方が大きく左右されることになる。
米国の映画会社各社は、家電メーカーに対し、デジタルテレビ信号の受信、記録、転送が可能な機器間で、ビデオファイルをやりとりする方法を制限するよう求めている。映画会社側の取り組みはあくまで著作権侵害行為の防止が目的だが、ホームネットワーキングなど合法的な新しいメディア技術の普及の妨げになりかねず、家電業界に波紋を呼んでいる。
消費者団体と映画会社とは、米連邦通信委員会(FCC)に提出されたある提案をめぐって激しい議論を戦わせている。この提案が承認されれば、いわゆるWi-Fiネットワークに使用されている無線ルータやFirewireといったデジタルネットワーク技術の管理権を映画会社が握ることになる。そうなると、録画機能を妨害し、また「安全でない」と判断されたデジタル信号の出力を一方的に中止し、さらに今日のアナログ出力から出される高解像度信号の質を低下させるといったことを、映画会社ができるようになるだろう。
デジタル技術問題を中心に扱う権利擁護団体、Public KnowledgeでIT専門の主席弁護士を務めるMike Godwinは、「デジタルの世界を制御する必要があるという名目で、こういった事柄がすべて後退させられつつある」と述べ、さらに「(ハリウッドの映画会社は)テレビを、一度入ったら出られないゴキブリ捕りのような仕組みにしたいと考えている」と付け加えた。
現在米国議会では、コンピュータなどによる映画や音楽といったデジタルコンテンツの読み取り、保存、コピー方法の制御を目指した議論が行われているが、電子機器の接続方法と著作権侵害をめぐるこの争いは、その議論のほんの一側面にすぎない。今回の議論ではデジタルテレビに焦点が当てられているが、多くの関係者らは、一度あるメディア向けの強力なコピー防止技術が確立されれば、それはすぐさま他のメディアにも採用される可能性があると指摘している。
ハリウッドの映画会社やテレビ会社は、作品がインターネット上などでコピー/再配布される可能性があれば、新しい高品位デジタルネットワーク上で、最高の作品を公開することはできないと主張していた。その結果、これらのメディア企業は米議会やFCCに圧力をかけ、デジタルテレビの早期発売を目指して進行していたいくつかの規制手続きにコピー防止の保証を付け加えさせることに成功した。
このことから、著作権保護技術は新しい「プラグアンドプレイ」のルールと切り離せないものとなった。そうしてまた、従来はセットトップボックスにしか接続されなかったデジタルケーブルネットワークを、さまざまな家電機器も直接接続できることになった。
「DRM(デジタル著作権管理技術)は、高い価値を持つコンテンツを配信するためには不可欠なものだ」と全米映画協会(MPAA)エグゼクティブ・バイスプレジデントのFritz Attawayは述べている。「もし十分に効果的なセキュリティ手段を確保できなければ、これらの配信システムを使って高価値のコンテンツを流すことは不可能だ」(Attaway)
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