Intelは、Pentium M搭載ノートPC向けの新型チップセット「Alviso」に関して、設計上の問題が発生していることを理由にこのリリースを延期した。これにより、今年秋に出荷が予定されていたこのチップセットを採用するノートPCは、2005年まで登場しないことになった。
Intelの計画に詳しい情報筋によると、同社はAlvisoの出荷を今年登場するノートPCに間に合わせる予定だったという。同社は依然として、同チップセットを第4四半期中にPCメーカーに出荷する予定だが、ただしこれを搭載したノートPCの登場は2005年初頭以降になる。なお、正確な発売日は未定のようだ。
今回の延期の原因は、設計とタイミングの問題だ。情報筋の話では、Alvisoの初期バージョンがIntelの基準に達せず、設計の見直しが必要になったという。また、同チップのリリースが第4四半期初め以降になると、PCメーカー各社の2004年の生産計画に間に合わなくなる。
Intelは、Alvisoの問題以前にも、最新のPentium Mチップ「Dothan」で一連の手直しや発売延期を経験している。当初は春前に発売になると見られていたDothanは、発売が5月にずれ込んだ。Intelはまた、最新のPentium 4チップ「Prescott」の設計見直しも余儀なくされた。Prescottは予定通り--というよりも実際はIntelの目標より早く--2003年末にPCメーカー各社に出荷されたが、これを搭載したPCが出回ったのは2月になってからで、PCメーカー各社はその時点でも同製品の不足を明らかにしていた。結局Intelは、製造上の問題から大量のコントローラハブチップのリコールを余儀なくされ、これが900シリーズのデスクトップ用チップセット発売に影響を及ぼすことになった。
Alvisoは、6月から新システムに搭載されているハイエンドデスクトップPC用の915および925 Expressの両チップセットに相当するノートPC用のチップセットで、これを採用したPentium M搭載のCentrinoノートPCでは、大幅な性能の向上が見込まれている。Alvisoは、拡張カード接続用の高速インタフェースであるPCI Expressや、ハードディスク用の高速インタフェースであるシリアルATAなどの高速コンポーネントを搭載する。そのほか、音質の向上を狙って高品位オーディオに対応したり、フロントサイドバスの処理速度を400MHzから533MHzへと引き上げてさらなる処理性能の向上を図っている。バスとは、プロセッサ-メモリ間を流れるデータの経路を提供するもの。Alvisoを、最速のPentium Mプロセッサおよび新型のトライバンドWi-Fiモジュールと組み合わせて使うと、CentrinoブランドのノートPCの性能が大幅に向上すると見られている。
AlvisoはノートPC向けの主要な製品だと考えられているが、同チップセットの出るタイミングを考えると、この出荷の遅れはIntel全体の売上には大きな影響はなさそうだと、Mercury ResearchアナリストのDean McCarronは話している。「Intelが(Alvisoの)発売を第3四半期に予定していたら、もっと大きな問題になっていたかもしれない」(McCarron)
発売延期は品質の問題で、IntelはAlvisoのリリースを延期するしかほかに方法がなかったと、McCarronはいう。「最近の問題すべてに共通するのは、製品が完成するまでIntelは出荷しないということだ」(McCarron)
各チップメーカーでは今後、こうした製品開発の遅れの問題が増えることになりそうだ。チップの設計はますます難しくなっているが、しかし新製品を定期的に発売するよう求める各社への圧力はなくならないだろう。そのため、どの会社でも一層厳しいスケジュールのなかでの開発を強いられることになる。
「新製品リリースの間隔が詰まってきていることから、こうした問題がますます多くなるだろう。これは特定のメーカーの問題ではなく。これはきわめて高度な事柄で、解決は難しい」とMcCarronは述べた。
Intel広報担当のHoward Highは、これでIntelでのチップ開発の遅れが終わったわけではないと述べた。同氏はAlvisoに関してはコメントしなかったが、Intelが先のコントローラハブの問題を受けて、開発スケジュールの再検討を進めていることを明らかにした。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。
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