Cisco Systemsから資金援助を受けたアイルランドのある新興企業が、インターネットプロトコル(IP)ネットワーク上での音声/ビデオ通信サービスを計画する際に、これまで人の経験と勘に頼っていた部分を取り除くネットワーク監視ツールを開発したことを明らかにした。
米国時間12日に、 Corvil(本社:アイルランド・ダブリン)は「CorvilNet 1.1」というソフトウェアを発表した。これは、IPネットワークを監視して、ネットワーク管理者がVoIPやビデオ配信のような特定のアプリケーションを走らせるのに必要な帯域幅を割り出すを助けるものだ。
Corvilでは、帯域幅の割り当てに関して、過剰と不足の間で適切なバランスを見つけ出すことに長年苦労してきた大企業やサービスプロバイダを助け、ネットワークに関する各社のあらゆるニーズをサポートすることを狙いとしている。
十分な帯域幅を確保できなければ、アプリケーションの動作は重くなるが、音声やビデオのようなアプリケーションの場合には、この遅さが大きな問題を引き起こす可能性がある。また、ネットワーク管理者が必要以上の帯域幅を割り当ててしまうリスクもあるが、これは貴重なネットワーク資源の無駄遣いとなる。帯域幅の過剰割り当ては、大企業にとっては通信サービスへの必要以上の支出につながり、また 通信事業者にとっては、本来であれば他の顧客から利益を得られる可能性のある帯域幅を、無料で提供してしまうことになる。
IPネットワークの容量を計画する際に生じる問題は、何も新しいことではない。この問題解決のために、Concord Communicationsのような企業から多くの監視ツールがすでにリリースされている。だが、Corvilの製品は従来の監視ツールとは異なると同社は主張している。他社の監視ツールが数分間隔でトラフィックのサンプリングを行うのに対し、Corvilの製品は数ミリ秒間隔でサンプリングを行うからだ。Corvilのソフトウェアは、特別に開発されたアルゴリズムを使いながら、一般的な監視ツールの6万倍以上に相当するデータを解析し、その結果を160バイトのメッセージに要約する。これらのメッセージは中央にあるサーバに送られ、そこで保存されて、トラフィックレポートの作成に利用される。
「VoIPやIP経由のビデオ配信は、非常に細かいレベルで発生するイベントの影響を受ける」と、Corvilのマーケティングディレクターを務めるPeter Doyleは述べている。「これらのトラフィックは、ウェブの閲覧や電子メールなどに比べ、レイテンシー(待ち時間)に左右されやすい」(Doyle)
同社の技術は、すでにCiscoからのお墨付きを得ている。Ciscoでは、Corvilが2003年3月にセカンドラウンドの資金集めを実施した際に同社に出資しており、現時点で同社株式の8%を所有している。Corvilは、2000年に正式な資金集めを行って以来、いままでに1800万ドルを調達している。同社が製品の中で使っている技術は、1990年代前半にダブリン高等研究所で開発されたものだ。同研究所は、トリニティカレッジの関連機関である。Doyleは、Ciscoとの提携の詳細について明らかにしなかった。
現在、Corvilのソフトウェアは個別のハードウェアアプライアンスに同梱される形で販売されているが、Doyleによれば、IPルータのような他のネットワーク製品上でも利用できるという。IPルータの売上で業界をリードするCiscoにとって、これは好都合だ。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。
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