Salesforce.comは新規株式公開(IPO)の初日である23日(米国時間)に、56.4%の株価上昇を記録した。今年実施されたIT企業のIPOの中で最も良い結果となった。
同社の株価終値は6ドル20セント高の17ドル20セントとなり、公募価格の1株あたり11ドルを大きく上回った。このIPO価格は、22日に設定されたものだ。
顧客関係管理(CRM)ソフトウェアを契約者にオンラインで提供するSalesforceは、教育ソフトウェアをオンライン提供するBlackboardのIPO初日の取引結果を凌ぐ結果となった。Blackboardは初日、43%の株価上昇を記録している。同社は先週17日にIPOを実施し、公募価格の1株あたり14ドルから44%の上昇を記録している。
Thomson Financialによると、今年はこれまでにIT企業16社がIPOを実施しているという。
ニューヨーク証券取引所で取引開始のベルを鳴らしたのは、Salesforceの最高経営責任者(CEO)Marc Benioffだった。Benioffにとって、株式公開に至るまでの道のりは長いものだった。同社の会計手法やNew York TimesでBenioffのプロフィールが紹介されたことに対して米証券取引委員会(SEC)が異議を唱え、IPOの延期措置をとらせた。
Salesforceが、初めてIPOを申請したのは昨年12月だった。
このIPOは、ソフトウェア業界の再編をもたらす新しいビジネスモデルの試みとして注目されている。Salesforceは、企業向けCRMソフトウェアをサブスクリプション形式で販売する手法をとっており、この手法は企業の購買担当者間で人気が高まっている。アナリストらは、Salesforceの契約ベースモデルや類似の手法が成功すれば、SAPやSiebel Systems、PeopleSoft、Oracleなどの従来型の販売を行うソフトウェア企業に課題を突きつける可能性がある。
直接競合するSalesnetなどのベンダも、Salesforceの成功を歓迎している。SalesnetのCEOであるMike Doyleは、「SalesforceがついにIPOを果たしたことは喜ばしいことだ。市場の反響も好ましい。この新しいビジネス分野の価値が立証されていくだろう」と語った。
SalesnetもまたIPOを検討しているが、Doyleはおそらく事業規模や収益が拡大する来年まで待つことになるだろうと述べている。Salesnetは、これまでに3回にわたって計3200万ドルのベンチャー投資資金を調達している。
SalesforceはこのIPOで1億1000万ドルの資金調達を行ったが、公開に力を貸してくれた投資銀行が手にする金額はごく一部で、残りの資金はすべて自社のものになる。Salesforceが事業のさまざまな事柄に費やせる追加資金を手に入れたことについて、Salesnetでは とくに脅威を感じてはいない、とDolyeは語った。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。
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