Salesforce.comは22日(米国時間)、新規公開(IPO)する株式の価格を1株あたり11ドルに設定した。投資家から旺盛な需要があり、当初の公募価格帯の上限を超える値段になったという。
Salesforceは同日、新規公開株の予定価格を20%引き上げ、1株あたり9〜10ドルとしていたが、投資家から高い関心が寄せられたことを受けて、さらに価格を引き上げた。その結果、同CRMソフトウェアベンダーの株価は1株あたり11ドルとなり、当初の価格帯から29%も増加した。
この株価を基準に計算すると、SalesforceはIPOで1億1000万ドルの資金を調達することになるが、これは低迷するIT関連のIPO市場にとって明るいニュースといえる。Salesforceや検索大手のGoogleの新規株式公開が、IT業界の復活のお膳立てをすることを期待する投資家も多い。
Salesforceの株式は23日に、ニューヨーク証券取引所で売り出される予定で、ティッカーシンボルは「CRM」になる。
調査会社IPO Financial Network社長のDavid Menlowは、「市場にとって、Salesforceは非常に大きなプラス要因だ」と言う。「IT業界はIPOに関して最大の成長が見込める分野で、投資家はIT企業の株式公開を熱望している」(Menlow)
Salesforceは当初、IPO株の公募価格帯を7ドル50セントから8ドル50セントに設定し、8500万ドルの資金調達を計画していた。しかし、複数の有力な投資家たちがこれに強い関心を示したため、同社の投資銀行がその価格帯を引き上げていた。
Salesforceの株式公開日は、米証券取引委員会(SEC)からの申し立てを受けて、何度か延期された。4月には、SECの担当官が同社に販売手数料の会計処理方法を改めるよう求め、また先月には、株式公開前の静粛期間中にもかかわらず同社創業者の紹介記事がニューヨークタイムズ紙に掲載されたことに対し、SECが懸念を表明していた。
Salesforceは、今回のIPOで全株式の10%にあたる1000万株を売り出す予定だ。また今回のIPOは、Morgan Stanleyが主幹事となり、そのほかDeutsche Bank、UBS Investment Bank、Wachovia Securities、William Blairの各社が幹事を務める。
同社の主要な製品は、法人の購買担当者の間で人気が高まりつつあるサブスクリプション形式のソフトウェアだ。Salesforceや同業他社の成功が、SAPやSiebel Systems、PeopleSoft、Oracleといった従来型の販売を行うソフトウェア企業に課題を突きつける可能性がある。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。
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