Salesforce.comが、来週を予定し、注目を集めていた新規株式公開(IPO)を延期するという。複数の関係筋が明らかにした。
顧客関係管理(CRM)ソフトウェアを販売する同社は当初、米国時間5月24日の週に株式を公開する予定だったが、予定を延期したと各関係筋はいう。同社のIPOは、来月になる可能性が高い。
「1カ月までは延期されないだろう。大幅に遅れるようなことはない」とある関係筋はいう。
5月9日付けのNew York Timesに、Salesforceと創業者Marc Benioffに関する記事がかなりの紙面を割いて掲載され、Benioffの経歴や同社の創業、同氏が取り組む慈善活動が紹介された。この記事の中でBenioffは、米証券取引委員会(SEC)が株式公開前に実施する「静粛期間」に配慮して、IPOに関する質問を避けていた。
だが、ある関係筋の話では、この記事が注目を集めたこと、そして記事の掲載日がIPO予定日まで2週間を切っていたことから、SECとSalesforceの「双方が延期に合意」したのだという。
過去にもSECは、ドットコム企業がIPOを実施する際に、冷却期間を課したことがある。1999年にSECは、経営陣が目論見書に含まれない情報をアナリストに漏らしたとの申し立てを受け、Webvanの株式公開を1カ月延期している。
14日にも、Salesforceの記事がNew York Timesに掲載されている。この記事は、9日の記事に比べると小さいが、IPO前にBenioffが自己保有株を売却したことを疑問視する内容のものだった。売却日や売却先は、IPOの申請書でも明らかにされていない。
「2番目の記事は延期とは関係ない。記者が明らかにした内容に、SECが知らなかった内容は何もなかった」(関係筋)
IPO Financial Networkの社長David Menlowは、Benioffの自己保有株売却を疑問視する。
「売却先とその理由に関する憶測が収拾つかなくなる前に、われわれはBenioffの保有株売却について、詳しい情報を知る必要がある。なぜ社長のトップが、会社の保有株ではなく、自分の保有株を売却するのだろう」(Menlow)
ある関係筋の話では、自社株の価値が希薄化するのを食い止める目的で、Benioffが自分の保有株を同社関係者に売却した例が、少なくとも過去に1回あるという。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。
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