SAPジャパンは6月9日、mySAP Supply Chain Management(mySAP SCM)の最新版を発表した。これは、機能強化された同社のSCMパッケージであるSAP SCM4.1と、RFID対応ソリューションとなるSAP Auto-ID Infrastructure 2.0からなるもの。
mySAP SCMは、SAPの統合インフラであるSAP NetWeaverにより、ERPやSCMなど実際に利用されている企業内でのアプリケーションに対応したRFIDソリューションを提供する。RFIDソリューションのコアとなるAuto-ID Infrastructure(AII)で、RFIDの保持するデータからビジネスデータへの変更を行うことになる。
SAPジャパン ソリューション本部 拡張ERPソリューションズ ディレクターの塚越秀吉氏 |
SAPでは、1999年よりRFID統合のための開発に着手し、2001年にはAuto-ID Center(現EPC Global)との協業を開始するなど、RFIDへの取り組みを積極的に進めていた。AIIは同社が2年にわたって製品開発を行ったもの。SAPジャパン ソリューション本部 拡張ERPソリューションズ ディレクターの塚越秀吉氏は、「RFIDタグからビジネスプロセスとアプリケーションへのデータ統合を実現し、RFIDデータの価値を提供することがSAPのミッションだ」と述べる。
RFID対応以外にも、サプライチェーンソリューションのコアとなるSAP SCM4.1では各種機能が強化されている。Inventory Collaboration Hub(ICH)とよばれるハブにより、仕入先および購買主双方の在庫で即納補充業務が実現するほか、設計、エンジニアリング、入札および契約、受注予測、在庫、調達関連文書、出荷状況の一元管理が可能となる。また、イベントマネジメント機能が強化され、より充実したモニタリング、トレーシング、トラッキングなどの監視機能が提供されるという。
SAPのRFIDソリューションは、すでに海外では導入事例がある。欧州で最大の小売店舗METROグループ傘下で昨年4月にオープンしたFuture Storeでは、物流センターや店舗倉庫でパレット単位・ケース単位でのタグ読み込みを行い、店舗内ではシェルフリーダーを利用して在庫管理場所検索を行っている。また、販売時には自動精算も実現しているという。
SCM4.1およびRFIDソリューションは、2004年夏に出荷開始を予定している。出荷目標としてSAPでは、「RFIDソリューションはグローバルで30件、SCM4.1はグローバルで90件、日本では10件が目標」としている。
国内でのRFIDソリューションの出荷目標は明確にしていないSAPだが、塚越氏は国内でのRFIDの利用に関して「周波数の課題などが残っていることに加え、Wal-Martのような巨大流通チェーンがないため、利用メリットが最大限に生かされない」など、普及に至るまで時間がかかることを指摘している。ただ同氏は、「国内のRFID技術は大変すぐれたものなので、ぜひ利用できるところから利用してもらいたい」と述べた。
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