IBMは、データストレージソフトウェア製品の売れ行きが好調であり、販売方法を合理化することで、この流れをさらに加速したいと語った。
IBMが米国時間3日に発表した推定値によると、、データバックアップやストレージ管理用プログラムなど、同社のストレージソフトウェア製品の売上高が、2003年第4四半期には市場全体の成長率の2.5倍の早さで成長したという。さらに同社は、今後これらの製品を購入しやすくする計画があることも明らかにした。
IBMのTivoliソフトウェア部門ストレージ管理製品担当バイスプレジデントのLaura Sandersは、「今年は販売窓口を一本化し、さまざまな製品を扱うことになる」と語る。
現在、同社のストレージソフトウェア製品の一部は、Tivoliソフトウェア部門が提供しているが、一方Storage Area Network(SAN)Volume Controllerなどいくつかの製品はシステム部門が販売している。
The Clipper Groupという調査会社のアナリスト、Mike Kahnは、販売窓口を一本化するというアプローチについて、同社のストレージソフトウェア製品すべてに関する顧客とのコミュニケーションに役立つだろうと述べている。「ストレージ管理製品の扱いが異なる部門に分散していたことは、IBMにとってハンデだった」(Kahn)
ストレージソフトウェア分野でIBMと競合する他の企業でも、最近のビジネスの好調ぶりをアピールしている。Veritas Softwareは、第4四半期の売上高が、前年同期比26%増の5億1300万ドルに達したと発表した。また、EMCによる買収まではLegato Systemsと名乗り、現在は同社の一部門となったLegato Softwareは、2003年に1400件の新規顧客を獲得したと述べている。
EMCなどのストレージ企業は、「情報ライフサイクル管理」(Information Lifecycle Management:ILM)というコンセプトを打ち出している。ILMとは、時間の経過とともに、データを保存するストレージ機器を適切なものに変えていくというもの。たとえば、企業にとって機密性の高い情報は高性能なディスクベースのストレージシステムに格納し、一方時間が経過して重要性が低くなったデータは、安価なディスクやテープに格納するといった使い分けをする。
IBMでは、ILMの販売に関して、特に力を入れているわけではない。だが、Sandersによると、IBMの技術はかなり前からILMのタスクを扱えるようになっているという。たとえば、Tivoli Storage Managerでは、あまり使われていないデータを高価な機器から安価なものへと移行するよう設計されている。
Storage Resource Managerという別のTivoli製品では、IBMや他のベンダーのストレージ端末を監視するよう設計されている。また、管理者が作成したポリシーに基づき、ファイルが大きくなると必要に応じて自動的にキャパシティを追加することも可能だという。
IBMは、SAN Volume Controllerでもストレージ機器の管理を簡単にできるようにすると述べている。この製品はSAN(Storage Area Network)向けに開発されたもので、個別のストレージ機器をつなぎ合わせて大規模なひとつのストレージエリアをつくり出す、いわゆる「仮想化」のプロセスに使われる。このソフトウェアを利用すれば、アプリケーション側のニーズに応じて、ストレージ容量が自動的に追加されるようにできる。
IBMのシステム部門では、2003年半ばからすでにSAN Volume Controllerを販売してきており、また同年後半にはSAN File Systemという別の仮想化製品も発売している。これは、複数の場所に置かれたサーバをIPネットワーク越しにひとつにまとめるよう設計された製品だ。SAN File Systemを利用すると、SANをローカルのファイルシステムのように使うことが可能となり、データの在処は関係なくなる。
IBMのTivoliブランドは、同社が1996年に買収したTivoli Systemsから由来したもの。Sandersの話では、IBMは社内の2つのストレージソフトウェア事業を当面は統合しないという。約35万人の従業員が働くIBMは「マトリクス」として機能しており、異なる部門が協力することも可能だと、Sandersは説明している。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。
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