ウォールストリートのベテランアナリストSteven Milunovichは、Hewlett-Packard(HP)の経営幹部に対し、同社の事業を2つに分割するよう提案している。
Merrill Lynchが米国時間7日に発表した調査報告書のなかでMilunovichはHPに対し、経営に踏み込んだ提案をしている。翌日には、HPがカリフォルニア州サンノゼでセキュリティアナリストらと会議を行うことになっていた。
Milunovichは報告書の中で、HPが組織を分割すれば、それぞれの分野にこれまでより戦略的に取り組めるようになると述べた。同社のイメージング/プリンティング事業を分離独立させるか、個人顧客向けと法人顧客向けの2つに事業を分割すべきだと、同氏は提案している。
「事業分割はHPの株主に恩恵をもたらす、とわれわれは直感している。(この提案に対し)HPは、すでに各部門を独立させて運営していると主張するだろうが、必ずしもそうとは思えない」(Milunovich)
HPの経営陣は株主の利益を優先し、現在の競争力を維持するという難題に取り組むべきだとMerrill Lynchは述べる。HPは現在、低価格攻勢をかけるDellと、製品やコンサルティングサービスなど幅広い商品ラインを所有するIBMとの間で、板ばさみになっている状態だ。
Milunovichは、HPのCompaq Computer買収について、サーバやPC、ストレージの市場シェア拡大につながり、賢明な判断だったと述べ、さらに競争力を高めるためには今後も継続的に企業を買収していくべきだと付け加えた。Sun Microsystemsを買収する可能性が最も高いのはHPだろうと、同氏はいう。
「HPは、エンタープライズコンピューティング市場でIBMに取って替わる存在になることを狙うべきだ。ローエンド市場でDellと競うことは不毛だ」(Milunovich)
しかし、IBMに対抗する戦略をとるためには、HPは重点分野の取り組みを強化する必要がある、とMilunovichは説明する。コンピュータやプリンタの製造/流通についても業務効率を上げるために改善すべき点がいくつかあることを同氏は認めている。しかし全体的にみれば、イメージング/プリンティング事業を独立させるのが得策だと述べた。
「HPはプリンタビジネスのCampbell Soup(世界で缶入りスープを販売する米国のメーカー)的存在だ。同社は、プリンタ市場という分野をすでに占有している。HPにとって、課題は市場シェアを獲得することではなく、市場を拡大させることだ」(Milunovich)
HPはCompaqが買収したDigital EquipmentやTandemの製品ラインも踏襲しており、その製品ラインは多岐に渡る。これらの製品を事業分割とともに新しいブランドに統合し、イメージング部門をHPとして残すことも考えられる。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。
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