日本オラクル(新宅正明社長)は、6月1日から始まる新会計年度にあわせ、2005年度の戦略概要を発表した。
同社は03年1月に、06年度までを見通した中期経営計画「Oracle Japan Innovation 2003」を策定。主に営業体制の刷新、グローバル展開、ビジネスプロセスの効率化を事業構造の転換の柱に据えた。中期計画2年目となる今年度は、前年に行った改革の定着と事業の成長を具現化するために、ビジネス・カバレージを拡大し、パートナービジネスの拡充を主要施策にあげている。
ビジネスのカバレージ拡大への施策としては、
- 産業ごとの組織を進化させ、コンサルティング機能の統合とソリューション提案力を増強
- 中堅、中小の多様な顧客ニーズに応えるクロスインダストリーの組織強化
- ビジネスオンデマンド開発室の開設によるオンデマンドサービスの推進
――の3点が柱。
パートナー企業との協業施策としては、
- 「Oracle 10g」など主力ソフトウェア製品のビジネス機会と用途の拡大
- 低価格製品加えた製品ラインアップの浸透
- データベース製品のトップシェア維持と拡大、各製品市場におけるシェアの伸長
――に注力する。
また、これら基幹事業を支えるオペレーションの統合によるコスト削減と、コーポレートガバナンスの確立などの相乗効果によって売り上げを拡大し、統合的なインフォメーションカンパニーを目指すとしている。
これらの基本施策をもとに、以下の事業拡充を進める。
- インダストリー組織の強化:産業分野別の営業体制を刷新。各々の産業に特化した専門チームを再構築し、顧客の需要に応えるITシステムの導入を推進する。
- 様々なITニーズへの対応強化:クロスインダストリーの組織を強化するとともにオンライン営業拠点「Oracle Direct」の人員を増強する。同社のライセンスビジネスの約3割に関与するようになった「Oracle Direct」の機能拡張を目指し、独立系ソフトウェアベンダー(ISV)との連携強化や、アプリケーション・サーバー分野の営業強化、中堅、中小企業の多様なニーズへの対応力の強化など、オンライン営業の拡充を目指した取り組みを行う。一方、札幌、仙台、金沢、名古屋、大阪、福岡、沖縄の支社7拠点による地場有力企業へのIT導入拡大を推進する。
- パートナー企業との連携の強化:すでに1000社を超えるパートナーとの連携を強化し、データベース製品のシェア拡大や、その他の製品市場におけるシェアの伸長に注力する。
- グローバル対応の強化:顧客のアジア地域での拠点展開に対応し、中国事業開発部を「アジアパシフィック事業開発室」に改称し、幅広くアジアに進出する日系企業のサポートを行う。
さらに、製品・サービス戦略の領域では、データベース・テクノロジー製品のトップシェア維持と新市場の開拓、アウトソーシングビジネスの拡充、品質の向上と技術者の育成強化に力を入れる。
具体的な施策としては、
- データベース・テクノロジー製品のトップシェア維持と新市場の開拓
- Oracle On Demandの開始
- 日本オラクル内の製品・技術関連部門を統合し、出荷プロセス、サポート体制を一体化した組織「プロダクト・オペレーションズ」を新設
――を実施する。
また、コーポレートガバナンスの確立に向けて、全世界のオラクルグループのバックオフィス(後方)業務をオラクル製品により統合・標準化した、「シェアードサービスセンター」の利用を開始。会計業務の統合を中心としたビジネスプロセスの効率化を継続していくとしている。
日本オラクル