売上増加を急務とするBEA Systemsは、来週新製品を発表し、合わせて競合企業に対する優位性を得るための計画を明らかにする。
企業が業務に使うシステム向けにサーバソフトスイート製品の販売する同社は、サンフランシスコで開催される同社の顧客カンファレンス「eWorld」で製品計画の概要を発表する。これは、同社のJavaベースソフト/開発ツールの顧客層を拡大することを目的としている。同社は、最近強まりつつあるIBM、Oracle、Microsoftの大手3社からの競争圧力を何とか食い止めようとしている。
先週、予想を下回る売上を発表したBEAは、いくつかの新製品で顧客の関心を呼び戻したいと考えている。同社は「Project Sierra」という取り組みの詳細を発表する予定だが、これはサービス指向アーキテクチャ(SOA)と呼ばれる最新のコンピューティングシステムを設計するための教育プログラムや技術的リソースを集めたものだ。BEAの計画に詳しい情報筋の話によると、同社はJava開発ツール「WebLogic Workshop」の利用拡大を狙った取り組みの詳細を明らかにすると見られており、その一環として同ツールのコードの一部をオープンソースで公開するという。
さらに、BEAは現在開発中の製品についての説明を行うとしているが、このなかには、より性能を強化した管理ツール、各種標準に準拠したエンタープライズサービスバス(ESB)と呼ばれるメッセージング製品、さらに同社の主力製品であるWebLogicシリーズの次期バージョンなどが含まれる。
アナリストらは、BEAの技術的ビジョンは長い間的確なものだったという点でおおむね意見が一致している。しかし、競争の激しいインフラソフト市場では、最新技術でさえも成長を保証するものではないということ、同社はに気付き始めている。規模、資金力ともに同社を凌ぐIBMやMicrosoftといったライバル企業は、幅広い製品を揃えているため、企業から大口契約を獲得しやすい、とアナリストらは述べている。
「(BEAの)製品は非常に優れてはいるが、それだけでは十分とは言えない」と語るのは、調査会社Forrester ResearchのアナリストJohn Rymer。同氏は、BEAが規模で勝るライバル企業に真っ向勝負を挑むためには、他社との関係を強化すると共に、法人顧客向けの製品を増やす必要があると指摘する。Oracle、Microsoft、IBMの3社は、自社のアプリケーションサーバスイートを他の製品やサービスとバンドルすることで、BEAのJavaサーバソフトよりも安く競合する製品を販売できるからだ。
以前からBEAの成長力を疑問視する声は聞かれたが、今回の決算発表が期待外れに終わったことで、その疑念が再浮上した。しかしアナリストらは、同社の強みとして、優れた技術力、累積シェアの大きさ、業界内の各社との強力な協力関係などを挙げている。
先頃発表された第1四半期決算では、全体的な売上/収益の目標値には達していたものの、新ビジネスの成功を占う指標として注目を集めるライセンス売上は前期比2%減の1億2000万ドルで、当初の予想を下回った。このニュースを受け、同社の株価は20%以上下落し、多くの金融アナリストが同社株の格付けを引き下げた。同社は業績が期待はずれに終わった原因として、販売部隊を再編していた南北アメリカ市場での販売不振を挙げた。
今回の低調な決算はBEAの経営に対する警鐘だろう、とRymerは指摘する。「私はかねがね、BEAは10億ドルの資金を投じて大型買収を行う必要があると考えていた。もはや自然に任せた成長を期待することはできない」(Rymer)
先週、IT調査会社各社から発表された市場シェアに関するレポートは、BEAのライバル企業が同社を凌ぐ売上の伸びを見せていることを示している。2002年にJavaアプリケーションサーバ市場でBEAに代わり首位に立ったIBMは、2003年のJavaサーバソフト売上の伸びの速さでもBEAを上回った。またOracleのJavaサーバソフトの売上も急増した。BEAはさらに、Microsoftのサーバソフト部門および開発ツール部門との競争にもさらされている。
現在オープンソースJavaサーバソフト/ツールが勢いを増しつつあり、BEAの中核事業であるアプリケーションサーバの市場に食い込んでいるようだ、とアナリストらは指摘する。無料で入手可能なアプリケーションサーバを提供し、これに関連するサービスの販売から利益を得ているJBossは、外部からの投資を受け入れ、これを使って企業顧客を獲得しようとしている。同社はまた、J2EE(Java 2 Enterprise Edition)規格に準拠した「Jonas」と「Geronimo」という2種類のオープンソースアプリケーションサーバの開発にも取り組んでいる。
BEAをはじめとするソフトメーカー各社は、数十億ドル規模の総売り上げを誇る、企業向けアプリケーション構築用ソフト市場でも凌ぎを削っている。BEAのWebLogic Platformスイートには、各種アプリケーションの実行に必要なアプリケーションサーバソフトやポータル型統合ソフト、さらにJava開発ツールが含まれている。同社は、WebLogic Platformスイート製品を販売することにより、1990年代後半に同社の急成長の原動力となったWebLogicアプリケーションサーバへの依存の軽減に取り組んできている。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。
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