NTTドコモは12月18日、同社の第3世代携帯電話であるFOMAの新機種「900iシリーズ」を発表した。端末を提供するのはNEC、パナソニック モバイルコミュニケーションズ、シャープ、三菱電機、富士通の5社。今までFOMAにとって課題とされていた待受時間や端末のデザインを改良し、第2世代携帯電話(2G)にはないサービスを盛り込むことで、FOMAの本格的な普及を狙う。
発表会の席上に立ったNTTドコモ iモード事業本部 iモード企画部長の夏野剛氏は900iシリーズについて、「世界最強の携帯シリーズ」と語る。900iシリーズではHTMLメールに対応したほか、着信時の動画再生機能など新たなサービスを追加した。また、iアプリやFlashは同社の第2世代携帯電話(2G)に比べ大幅に容量を拡大している。いずれの端末も連続待受時間が300時間、連続通話時間が100分以上となり、同社の2G並みの性能を備えた。「900iシリーズはFOMA + iモードの究極の姿だ」(夏野氏)
FOMAはこれまで「2102シリーズ」のように、2000番台の番号が付けられていた。今回の新機種が900番台となったことについて、夏野氏は「3ケタのほうが認知率が高い。それに900と言えば505より(性能が)上というのがすぐに分かる」と説明。さらに900という番号で、“これ以上のものはない”という意味も持たせているという。
ゲーム、HTMLメール、着モーションなどコンテンツが充実
NTTドコモ iモード事業本部 iモード企画部長の夏野剛氏 | |
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900iシリーズではまず、iアプリのプログラム実行領域を最大100KB(従来は最大30KB)、データ記憶領域を最大400KB(同最大200KB)と大幅に拡大した。これにより、さまざまなゲームが楽しめるようになったという。「携帯型ゲーム機の中でも最高レベルの1つといえる」(夏野氏)。NECのN900iではスクウェア・エニックスの代表作「ドラゴンクエスト」の完全移植版が、パナソニック モバイルコミュニケーションズのP900iでは「ファイナルファンタジー」の完全移植版がプリインストールされている。また、バイオハザードや信長の野望など多くのコンテンツプロバイダーからも対応ゲームが発表された。
マクロメディアのFlashも大容量化された。505iシリーズの約5倍にあたる最大100KBの容量に対応する。また、900iシリーズからアクセスしたiメニューはFlashで表示されるという。
新たなサービスとしては、「デコメール」と呼ぶHTMLメール機能が搭載される。Eメールの背景色や文字の色・大きさが変更でき、アニメーション画像や撮影した写真などを載せられる。PCともやりとりが可能という。また、デコメールに対応していない機種にメールを送信した場合は、文章だけが表示される。送信にかかるパケット代金はメールの内容や料金プランによっても異なるが、通常のメールの2倍程度という。
着信時に動画や着うたなどの楽曲を流す「着モーション」機能も搭載した。12月時点の対応コンテンツは2万1000以上と、業界最大の規模になったという。「ドコモだけのコンテンツ配信もそろえた」(夏野氏)
FOMAの大きな特徴であるテレビ電話については、自分の顔の代わりにキャラクターを表示する「キャラ電」機能が追加された。キャラクターは内蔵されている画像のほか、コンテンツプロバイダーのサイトからダウンロードも可能。ボタン操作で笑う・泣くといった表情をつけられるという。「テレビ電話ではよく、おじいちゃんが孫と会話をするというシーンがあるが、ぜひピカチュウを出してお孫さんと会話してほしい」(夏野氏)
ドコモでは今回の900iシリーズによってさらなるリッチコンテンツの提供が可能となるとして、利用者がコンテンツを利用するのに支払うiモード情報料の上限を月額300円から500円に引き上げるという。
「500万台は行ける」---発売時期は2004年2月に
端末側の特徴としては、いずれも100万画素以上のカメラを備え、QVGA液晶をメイン画面に搭載した。赤外線通信機能やQRコードなどが読み取れるコードリーダも搭載している。重さは120g前後となっている。
その他、シャープのSH900iではパソコンminiSDカードに保存したWordやExcel、PowerPoint、PDFなどのファイルが閲覧できる「ドキュメントビューア」機能を搭載。三菱電機のD900iでは出力ケーブルを使って、撮影した動画・静止画をテレビに出力・再生できる。富士通のF900iではUSB接続ケーブルを使って、パソコンとデータ共有が可能。指紋認証機能も備えている。P900iは着せ替えパネルを採用し、外見をユーザーが変えられるデザインにした。
また、900iシリーズの高機能機種も紹介された。ヒンジの部分を回転させて動画を撮影できる「ムービースタイル」のP900iVと、タッチパネル液晶とBluetoothを搭載したF900iTの発売が予定されているという。
900iシリーズの発売時期は2004年2月となる予定。ただしP900iVとF900iTについては「少し遅れて2004年の春先になる」(夏野氏)という。端末の価格帯は未定だが、「普通の人が普通に買えるくらいの値段にする」(夏野氏)とした。
販売目標値については「個人的には500万台はいくのではないか」(夏野氏)とした。なお、FOMAの販売数は12月11日時点で170万件となっている。
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