リコーと日立製作所は3月31日、日立の100%子会社の日立プリンティングソリューションズ(日立PRS)の全株式をリコーに譲渡することで合意に達したと発表した。
日立PRSは日立製作所と日立工機のプリンタ事業を統合して2002年10月に設立された企業で、資本金は50億円、従業員数は820名。2004年度3月期見込みで売上高約600億円、利益率は4%程度の黒字という。株式の譲渡は10月に予定されている。ただし譲渡金額などは明らかにされていない。
握手を交わすリコーの桜井正光氏(左)と日立製作所の庄山悦彦氏 |
リコーは、プリンタ事業を一層拡大するべく、オフィス・カラーレーザープリンタ市場および基幹業務用途のプリンタ市場、POD(プリント・オン・デマンド)市場に向けた製品ラインアップの強化を図っている。また、従来の複写機販売チャネルに加えて、ソリューション型の販売チャネルの増強に努めている。
リコー代表取締役社長の桜井正光氏によると、今回の話はリコー側から持ちかけたものという。「日立PRSには高速・高信頼性プリンタに関する技術があり、リコーは2003年から協業の可能性を探っていた。2004年初頭には高速エンジンに関して共同開発を行うことで一致したが、(日立PRSの買収が)今後の競争力強化につながると確信したため、日立側に申し入れた」と経緯を説明。日立製作所 代表執行役 執行役社長の庄山悦彦氏も「リコーのブランド力と事業の相互補完性、今後の成長性を考え、すべてのステークホルダーにとって一番良い方法を取った」とした。
日立PRSはリコーの100%子会社となるが、経営陣は留任する予定。また、雇用条件についても当面は現状を維持すると桜井氏は話す。
今回の合意によって、リコーは基幹系プリンタ/POD市場に向けた高速プリンタや低価格カラーレーザープリンタ分野に強みを持つ日立PRSをグループ企業に加えることになった。リコーでは特に、日立PRSが持つ基幹系プリンタの技術・サポート力に注目。高信頼性が求められる同分野に日立PRSの持つリソースを生かすことで、シェア拡大を図る方針だ。
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス