ユタ州ソールトレークシティ発-- IBMは、Linux陣営で新たに台頭してきたNovellに対し、SuSE Linux買収発表時に約束していた5000万ドルの出資を行い、両社の技術提携を強化した。これと同時に、Hewlett-Packard(HP)もNovellとの関係を拡大し、Linuxデスクトップ分野への参入を目指すことを明らかにした。
IBMは米国時間23日に発表した新たな提携の一環として、自社のブレードサーバおよび4つのサーバシリーズ全機種に、NovellのSuSE Linuxソフトウェアを直接搭載する可能性があると、両社は述べている。なお、現在は顧客がIBMを通じてSuSE Linuxへの支払いを行い、同社がSuSEに発注をかけている。
また、SuSEの元CEO(最高経営責任者)で、現在はNovellのヨーロッパ事業部長となっているRichard Seibtによると、IBMのライバルであるHewlett-Packard(HP)は、自社のサーバにSuSE Linuxを搭載する許可を既に受けているが、今後はこれをデスクトップコンピュータにまで拡張するという。
当地で開催中のNovell BrainShare 2004カンファレンスの中で、米国時間24日に発表されたNovellとHPとの提携拡大は、デスクトップソフトウェアで首位の座にあるMicrosoftに新たなプレッシャーを与えるものだ。現在PCの売上第1位のHPは、今月初めにアジアでのLinux搭載PC発売を発表し、既にMicrosoftと距離を置きはじめている。
HPのLinux担当バイスプレジデント、Martin Finkは、「我々は本日、Novellとの関係を拡大し、同社の提供するLinuxプラットフォームをデスクトップにまで拡張することを発表する。我々は、今後デスクトップ機とノートPCのほぼ全機種について、Novell SuSE Professionalの認証・テスト・サポートを行っていく」と述べ、最初のモデルは「年末まで」に出荷される予定だと語った。
現在Linuxの売上は、大部分がサーバ用OSからのものだ。複数の市場調査会社の報告によると、サーバ市場全体で首位に立つのはIBMだが、ただしLinuxのカテゴリーではHPがリードしているという。
Novellは昨年11月に、Linuxの販売でRed Hatに次いで第2位にあるSuSE Linuxを、2億1000万ドルで買収すると発表したが、このときIBMはNovellに対して出資を行う約束していた。しかし、SuSEの買収が完了した1月になっても、NovellとIBMはまだ条件をまとめられず、3月22日の時点でも、両社の間では金額面の詳細を巡って交渉が続いていると、NovellのCEOであるJack Messmanは語っていた。
IBMによる出資で、同社とNovellとのつながりはさらに強固なものとなる。NovellのSuSE部門では、ライバルのRed Hatと比べて、いっそう熱心にIBMの全サーバをサポートしようとしている。
IBMは今回の提携で、1株あたり6ドル25セントで普通株800万株分に転換できるNovellの優先株を購入。この優先株には年間2%の配当金が付き、Novellは四半期毎にこれを現金で支払うことになる。
また、Novellには合わせて3億9000万株の発行済み株式があるが、優先株転換後のIBMの持ち株は全体の2%以下になると、Novellは述べている。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向け に編集したものです。
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