マイクロソフト、EUとの土壇場の交渉が決裂--独禁法訴訟で和解不成立

Michael Parsons and Andy McCue (Special to CNET News.com)2004年03月19日 09時51分
  • このエントリーをはてなブックマークに追加

 Microsoftが独禁法違反の訴えをめぐり、欧州連合(EU)との間で続けていた土壇場の和解交渉が失敗に終わった。来週には歴史的な判決が同社に下されることになる。

 Microsoftの最高経営責任者(CEO)Steve Ballmerは今週、EU Competition CommissionerのMario Montiとの交渉のために欧州入りしていた。しかし、この交渉が18日決裂し、Montiは声明のなかで、Microsoftの今後のビジネスのやり方に関して両者の間には合意が成立しなかったと語った。

 「この訴訟でMicrosoftと和解に達することができなかった。私は最終的に、ヨーロッパにおける競争ならびに消費者にとって最良な選択肢を決めねばならなかった。大きな前例となる決定を下すほうが良い結果になるというのが私の考えだ。市場で強力な独占的地位にある企業の今後の振る舞いについて、はっきりとした原則を築くことになる前例を設けるのは、非常に重要なことだ」とMontiは述べている。

 EUの独禁法規制当局は、MicrosoftがWindowsにメディアプレーヤーを「抱き合わせ」し、競争の規則に違反したと判定していた。現在EUの規制当局は是正策を検討中だが、その内容によっては、Microsoftは各コンピュータメーカーに対し、同社製オペレーティングシステム(OS)に2つのバージョン--オーディオ・ビデオ再生機能つきのものと、そうでないものの提供を強いられる可能性がある。

 Microsoftは声明のなかで、訴訟が次の段階に進めば和解に達することもあり得るとの期待を表明した。

 「我々は、訴訟の争点について合意に達したと考えている。しかし今後持ち上がってくる可能性のある新たな問題についての原則では、和解に達することができなかった」(同声明)

 「我々はこれらの問題を法廷で争わずに解決しようと真剣に取り組んできた。ヨーロッパ各国政府との関係は我々にとってこの上なく重要であることから、我々は和解に達するためにあらゆる努力を尽くしてきており、おそらく後の段階においても、まだ和解に達するチャンスがあると期待している」とBallmerは述べている。

 今回和解が成立していれば、Microsoftはヨーロッパでの事業のやり方を変えることに合意していたはずだった。また、将来反トラスト訴訟を起こしやすくしかねない、マイクロソフトにとって不利な事実がさらに明るみに出るのを回避できていただろう。

 だが、この交渉の決裂を受け、EUは3月24日に予定されている正式な裁定で、Microsoftに巨額の罰金を課すことになる。この裁定の内容は、同社がメディアプレーヤーソフトを提供する他社に対して優位に立つために、OS市場における自社の支配的な立場を違法に濫用した、というものになると見られている。

 またこの裁定で、Microsoftはプロプライエタリな、極秘扱いのWindowsソースコードを競合他社に公開すること、ならびにメディアプレーヤーをバンドルしないOSを提供することを余儀なくされる可能性がある。

 「今回の裁定の重要な点は、単に個々の問題を解決することではなく、原則を確立することだ」と、独占禁を専門とするブリュッセルの法律事務所Howrey Simonの専門弁護士David Woodは述べている。

和解案の詳細

 Microsoft広報担当のJim Deslerによると、同社の提示した和解案は2つの事柄に焦点をあてていたという。つまり、1つはメディアプレーヤーソフトウェアで、もう1つはより多くの技術情報をライバル企業に公開することで競合するソフトウェアとWindowsの相互運用性を高めることだった。

 Microsoftは、EUが是正措置として提案したとされる、2つの異なるバージョンのWindows--メディアプレーヤー付きとそうでないもの--を販売することは提案しなかった。

 その代わりに、Windowsのインストール時に、競合メーカーのメディアプレーヤーもハードディスクにインストールされるようにすると同社は提案。しかしその場合でも、おそらくReal Networksや他のライバルメーカーのプログラムは、同社のメディアプレーヤーのようにOSに統合された形にはならない。

 またDeslerによると、Microsoftの和解案は全世界で適用されるものだったという。これに対して、EUによって下される是正措置はあくまでも同地域内にだけ適用される。

 この和解案にはWindows Serverを取り巻く問題や、競合ソフトウェアとの相互運用性に関する議論も盛り込まれていた。ただし、Deslerはそれらの議論に関してはコメントしなかった。

 EUが命じる是正措置によって、今後のMicrosoft製品にどのような影響が生じるかははっきりしていない。たとえば、同社が開発を進めている次期Windows(コード名「Longhorn」)では、高度なメディア処理技術がOSに統合されると見られているが、こうした製品への影響もまだ定かではない。「両者は、法廷による今後の明確な判断が有益な先例になるという点では一致している」(Desler)

 24日にはMicrosoftに不利な裁定が下されると見られているが、同社はこの裁定に対して控訴することを計画している。

この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向け に編集したものです。

  • このエントリーをはてなブックマークに追加