Microsoft会長のBill Gatesは、英国王室から名誉爵位を授与されたばかりだが、独占禁止法違反の疑いでMicrosoftの調査を進めている欧州連合(EU)は、同社に敗訴の判決を下すことになりそうだ。
判決はまだ草案段階で、最終決定に関する詳細情報は一切公表されていないが、現在見られる兆候は全てMicrosoftの思惑通りにいきそうにないことを示すものだ。EUのCompetition CommissionerであるMario Montiは、Windows Media Playerを巡る議論の決議草案情報を、欧州委員会(EC)のさまざまな部門で漏らしているが、EUに詳しい人々は、この情報から判断する限り、今回の独禁法訴訟がMicrosoftに好意的なものになる可能性は低いと見ている。
Microsoftが法的な打撃を受けそうだという見通しに涙を流す者は、同社関係者以外にはあまりいないだろうが、同社がより大きな政治的争いのなかで、1つのコマとして使われる可能性は大いにある。調査会社Red Monkの主任アナリスト、James Governorによると、欧州と米国間の緊張関係が、EUによるMicrosoftの処遇に影響を及ぼす可能性は高いという。
「米国が一方的に物事を進めようとすれば、EUが分別のある判決を下すことは難しくなる。今後どうなるにせよ、米国でロビー団体が生まれ、欧州は自分たちを保護しようとしているだけだ、彼らは競争を恐れている、そしてMicrosoftが成功するのを阻止しようとしている、といった声が上がるだろう。米国の政治的状況により、状況は悪化している。ECが必死になって事をうまく運ぼうとしている理由は、欧米間の関係に問題があるからだ」と、GovernorはSilicon.comに対して語った。
欧州の最終判決が、Microsoftにとって打撃となることは間違いない。同社はすでに、大西洋の対岸の米国では、独禁法違反かどうかを巡って当局と法的に争っている。欧州の決定がMicrosoft敗訴となれば、競争規定に違反したペナルティは、Microsoftへの製品の販売方法変更を求める厳しい指令とともに、30億ユーロ(37億ドル)の罰金も含むことになる可能性がある。
法律事務所Dickinson Deesのパートナー、Neil Warickは、罰金はまず確実だろうと見ている。「販売方法変更の指令よりも、罰金のほうが可能性が高い」と、DeesはSilicon.comに語った。
Deesは、「欧州委員会は人手不足で、Microsoft(による命令遵守)の監督にまわす人材がいない」と述べ、さらにMicrosoftは欧州委員会を見くびらないほうがいいと付け加えた。
「米国の法体系は、司法取引や解決策を見出すことに重点が置かれている。だが、欧州の法律は救済措置を見つけるためではなく、規則を破った者を処罰するためにある」(Dees)
この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス