10ギガビット/秒の転送速度を誇るイーサネットスイッチ市場は立ち上がりが遅かったものの、ここにきて自社ネットワークの速度向上を検討する企業顧客が増えていることから、この技術にも本格的な普及のきざしが見え始めている。
現在、10ギガビットイーサネットが提供する帯域幅を使い切るアプリケーションは皆無に等しい。しかし、新しく設計されたより高密度な製品の登場に伴い、価格が急激に低下していることから、10ギガイーサネット製品への需要が高まりつつある。さらに、銅ケーブルで10ギガビットイーサネットを実現する新しい標準がコスト削減に役立つ可能性もあり、今年後半には10ギガビットイーサネットの導入に拍車がかかるかもしれない。
「価格が驚くべきスピードで下がってきている」とThe Yankee Groupのアナリスト、Zeus Kerravalaは述べ、さらに「価格が下がったおかげで、(10ギガビットイーサネットの)採用に拍車がかかった」と付け加えている。
10 GigEとも呼ばれる10ギガビットイーサネットの登場は、各企業での帯域幅への需要の高まりを浮き彫りにしている。かつて、1ギガビットイーサネットが古いFastイーサネットに取って代わったが、そのときの同じように、10ギガビット技術が性能の点で現行の技術を一気に飛び越えるといわれている。しかし、10ギガビットイーサネットはスーパーコンピュータからネットワークストレージまで、1種類ですべての用途に対応できるため、長期的にみると、その影響はさらに大きなものとなる可能性がある。
加えて、10ギガビットイーサネットはコンピュータのクラスタリングをめぐる白熱した議論で必ず取り上げられる技術だ。これは、InfiniBandと並んで、複数のコンピュータを効果的にまとめて1台のマシンにする高速な接続技術の最有力候補者として浮上している(同技術の支持者によると、クラスタは数分の一のコストでスーパーコンピュータに匹敵するパフォーマンスを実現できるという)。
10ギガビットイーサネットの技術は、ストレージシステムにも浸透しつつあり、ファイバチャネルスイッチに取って代わる可能性がある。10 GigEは、どのネットワークアプリケーションにも完璧に対応するわけではないが、1つの技術を利用してさまざまな作業をこなせれば、トレーニングコストの削減につながることから、エンジニアはこの点で10 GigEに惹き付けられている。
今のところ、10ギガビットイーサネットスイッチは、通常ネットワークの心臓部で低速のデータストリームを扱う目的に利用されている。たとえば、これらのスイッチを使った場合、ネットワークの端にあるPCに最大1ギガビット/秒(gbps)の転送速度でデータを送ることができる。この転送速度なら、DVD並みの画質を持つ映画を1本丸ごと配信しても、30秒程度しかかからない(無論ネットワークの状況によって所用時間は変わるが)。従来の典型的なブロードバンド回線で同じ量のデータを送ろうと思えば、優に数時間はかかってしまうだろう。
The Yankee Groupによると、10 GigEの標準が承認された2002年の年末には、10 GigE用機器の売上高はわずか4200万ドルだったが、昨年末までにはそれが約9000万ドルまで増加したという。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向け に編集したものです。
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス