Intelは、各チップの処理性能を消費者にもっと分かりやすくするために命名方法を見直し、新たにモデルナンバー制を導入することを計画している。同計画に詳しい情報筋が明らかにした。
同社はまず、第2四半期に出荷予定の最新のPentium Mプロセッサ(開発コード名「Dothan」)から、この命名法に切り替えると見られている。情報筋の話では、Intelは夏までに新命名法の導入を目指し、Pentium 4とCeleronの両チップにもモデルナンバーを割り振っていくという。
このモデルナンバー制に切り替わると、各プロセッサには2GHzなどといったクロックスピードのほかに、処理性能を示す番号が与えられることになる。
チップの全体的な性能を重視し、一方動作速度を強調しないこの新しい命名法は、Intelのマーケティング部門にとってかなり大きな変化となる。同社は膨大な時間とコストを投じて、プロセッサの処理性能を示す最大の指標として、クロックスピードを売り込んできた。同時にそれはAdvanced Micro Devices(AMD)製品との最大の差別化要因ともなってきた。
だが時代は変化し、IntelのPC用プロセッサは1990年代後半から複雑化して、バリエーションも増加した。新しいモデルナンバー制のもとでは、各チップのクロックスピードは、キャッシュのサイズやバススピードなど、パフォーマンスを要約するいくつかの特徴の1つに変わる。この情報筋によると、新たな命名法の導入には「優れている」「さらに優れている」「最も優れている」という分類を基本にして、消費者がチップを比較しやすくする狙いがあるという。
チップの命名がモデルナンバーに変わると、同じ製品群に属する2つのチップの違いが一段と明確に示されるようになる。たとえば、Pentium 4ファミリーでは、512Kバイトのキャッシュと533MHzのバスを搭載したNorthwoodコアのPentium 4/2.6GHzチップの性能と、1Mバイトのキャッシュと800MHzのバスを搭載したより新しいPrescott/2.8GHzチップとの区別が簡単につくようになる。
同じことが、古いBaniasと新しいDothanなど、Pentium MやCeleronチップの区別にも当てはまる。低価格PC用に設計されたCeleronは、次四半期にクロックスピードの強化が予定されており、これが新しいモデルシステムにも反映されることになる。
このモデルナンバーはIntelの全PC用プロセッサに適用されるが、当初Pentium 4 Extreme Editionだけは除外される。しかし情報筋によると、Intelではこの格付けを同一製品群のチップの比較だけに使用し、異なるプロセッサ製品の比較には使わないという。
新しい命名法へ切り替えは、消費者のPentium Mチップ製品に対する捉え方を変えるという点で、Intelの役に立つかも知れない。同社は昨年以来、このモバイルPC向けチップについて広範な広告展開を行っており、またCentrinoのパッケージにこのチップを含めているが、消費者のなかには、Pentium Mがデスクトップ用のPentiumよりクロックスピードが遅いことの意味をなかなか理解しない者もいる。
Pentium Mには、クロックスピードが1.4GHzから1.7GHzのものまで、いくつかのモデルがある。これに対し、Pentium 4のクロックスピードは2.4GHzから3.4GHzとなっている。Pentium Mが市場に出回った昨年1年間を通じて、消費者の多くはPentium MではなくPentium 4を搭載したノートPCを買い続けた。PCメーカー各社の話では、動作速度の遅いチップに対して(早いものと)同等かそれを上回る金額を出すことに抵抗を示した消費者もいたという。そのため、ノートPC向けとしてはPentium Mほど適していないはずのPentium 4を積んだマシンのほうが、小売店頭ではPentium M搭載マシンよりも多く販売されていた。
モデルナンバー制ではクロックスピードをそれほど強調しなくなることから、消費者が先々モバイルPC用プロセッサを異なる見方で捉えるようになる可能性がある。
なお、インテルに先んじて、すでにモデルナンバー制を使用しているAMDでは、2001年にこの切り替えを実施。たとえば現在Athlon XPでは 2500+、3000+といった名前が付けられ、同製品ファミリーに属する旧型チップと比較した処理性能を示すようになっている(同社説明による)。AMDでは新しい64ビットチップ「Athlon 64」でも同様の番号をチップに付しており、たとえば3400+というモデル名は、クロックスピードが2.2GHzで1MBのキャッシュを持つチップに割り当てられている。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向け に編集したものです。
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