デジタルカメラは「デジタル三種の神器」の1つと呼ばれ、日本企業の業績回復を支えている。しかしその競争は激しさを増しているのも事実だ。そんな中、デジカメ市場で後発のセイコーエプソンが目をつけたのは、古くて新しいレンジファインダーカメラだった。
エプソンは3月11日、レンジファインダーを採用したデジタルカメラ「Epson Rangefinder Digital Camera R-D1」を発表した。レンジファインダーデジカメの販売は世界初という。銀塩カメラで使われるライカレンズがそのまま使える点が特徴で、往年のカメラユーザーをターゲットに年間1万台の生産を目指す。
「Epson Rangefinder Digital Camera R-D1」 |
レンジファインダーとは、三角測量の原理で距離を測る機能を搭載したカメラのこと。一眼レフと異なり、ファインダー内で見える二重像を重ねることでピントを合わせる。一眼レフよりも小型化しやすく、シャッターを切る際に視野が消えないなどのメリットがある。
レンジファインダーデジカメの開発に取り組んだことについて、セイコーエプソン代表取締役副社長の丹羽憲夫氏は「エプソンのブランドイメージを高め、話題になるようなものを作りたかった」と話す。エプソンでは光学メーカーのコシナと技術協力を行い、2年の開発期間を経て完成させた。
R-D1ではライカのL/Mマウントに対応した。デジカメでL/Mマウントが利用できるのは「世界初」(同社)という。これにより、現在流通している200種類以上のレンズがそのまま使える。ほかにも巻き上げレバーや針式インジゲータなどを採用し、アナログカメラの使い勝手を再現している(詳細はフォトレポートを参照)。
有効画素数は610万。2.0型のTFTカラー液晶を搭載し、記録メディアにはSDカードを採用した。大きさは幅14.2cm、高さ8.85cm、奥行き3.95cmで、重さは590g(本体のみ)となっている。
発売は7月頃となる予定で、世界同時発売となる。価格はオープンだが、「市場では30万円を切る程度で販売されるのではないか」(セイコーエプソン情報画像事業本部IJP企画推進部長の枝常伊佐央氏)とした。なお、エプソンではレンズを扱わず、本体のみの販売となる。販売はエプソン販売が担当する。
丹羽氏によるとライカレンズのユーザー数は世界で30万人程度といい、「年間1万台売れればいいほうだ」(丹羽氏)と話す。エプソンはデジタルカメラ市場では後発となるため、「普及機を出しても市場に埋もれてしまう。今後は高級機に投資をシフトしていく」(丹羽氏)とした。
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