Eastman Kodakがソニーを提訴した。ソニーのデジタルカメラやビデオカメラが自社の特許侵害にあたるとして、Kodakはこの訴えを連邦裁判所に提出した。
Kodakの広報担当、Gerard Meuchnerによると、不特定額の賠償金と、新たな侵害の禁止を求めたこの訴訟は、米国時間8日遅くにニューヨーク州ロチェスターの米国連邦地裁に提出されたという。Kodakはこの訴えのなかで、1987年から2003年にかけて発効した自社の10件の技術特許を、ソニーの複数の製品が侵害していると申し立てたと、Meuchnerは述べている。
ソニー関係者からのコメントは得られていない。
また、Kodakが標的にしているのはソニーだけではないようだ。
Meuchnerは、Kodakが自社の知的財産を利用している可能性のある企業に対して、当該する技術のライセンス供与を行うことに関心があるとしているが、これらのメーカーの名前や、各社との交渉の有無については明らかにしなかった。
「他社との交渉の有無についてはコメントできない」とMeuchnerは述べ、今後の訴訟の有無を憶測で話すことはできないと説明した。
IDCのシニアアナリスト、Chris Chuteによると、Kodakはおそらく、他のカメラメーカーからのライセンス収入の確保を目指しているのだという。
「同社が自社の知的財産侵害と思われる例を探し回らないとは考えにくいと思う」(Chute)
Meuchnerの指摘によると、Kodakは世界中でCMOS(相補型金属酸化膜半導体)およびCCD(電荷結合素子)の両イメージセンサや、携帯電話用カメラといった今後有望な技術を網羅するデジタルカメラ関連の特許を1000件以上所有しているという。
「我々はデジタルカメラの特許に関しては、最高の位置につけていると思う」(Meuchner)
Meuchnerによると、Kodakは3年におよぶ交渉が決裂したことで、ソニー提訴に踏み切ったという。
Kodakはこれまで、オリンパスと三洋電機の少なくとも2社にライセンスを供与している。三洋は同社の技術ライセンスを2001年に取得したが、これは三洋を含む複数の企業を2001年3月に提訴したKodakとの和解の一部として成立したものだ。
ニューヨーク州ロチェスターに本社を置くKodakは、従来の銀塩フィルム技術からデジタル技術へというイメージング市場の大規模な転換に乗り遅れ、経営的に苦しい立場にある。同社はこの1月に、企業再建に向けた20%の人員削減の実施を明らかにしていた。
Kodakは銀塩フィルム関連のビジネスを急速に縮小し、かわりにインクジェットプリンタなど新たなデジタル分野への取り組みを進めるとの計画を発表している。Chuteの話では、Kodakは事業内容の転換でもまたマインドセットの切り替えについても、現在進歩を遂げていることから、このタイミングでライセンスに関わる訴訟を起こすことは考えにくいように思えたという。
「Kodakが再びこの路線を進み始めたのは、ある意味で驚きだ」とChuteは述べ、さらに「背景にどういった事情があるのか気になるところだ」と付け加えた。
しかしながら、ソニーとKodakは市場で熾烈なシェア争いを繰り広げてきている間柄であり、前四半期の米国市場におけるシェアでは僅差で首位を争っていた。
Chuteによると、この訴訟によって消費者に対するソニーのブランドイメージが傷つくことはなさそうだという。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向け に編集したものです。
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」